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施肥設計とは?養液土耕に必要な土壌診断と施肥設計

養液土耕栽培では、少量多潅水によって過剰な施肥を抑制することが可能です。これは根域付近にピンポイントで潅水を行うことで、効率的に水分や肥料分を植物に吸収させることができるためです。養液土耕栽培では、適切な潅水と施肥により、土壌中への肥料分の蓄積(塩類集積)や肥料バランスの乱れが起こりにくいと言えるでしょう。

 

しかし初めて養液土耕栽培を行う場合には、土壌中に前作の土耕栽培の残存肥料が多くあることも考えられます。そうした場合には土壌分析にもとづく施肥設計が必要となります。さらに毎作ごとに土壌分析を行い、前年の残存肥料を勘案した施肥設計も行われています。今回は養液土耕栽培を行うにあたって重要な、施肥設計の考え方をご紹介します。

土壌分析と施肥設計

土壌分析は地域のJAや普及センターなどの機関を通じ行うことが多く、その場合の費用は比較的安価です。土壌をサンプリングし、機関に備え付けの検査機器があれば、そこで肥料成分ごとの濃度や保肥力の指標であるCECなどの値が分析されます

土壌分析
土壌分析は比較的安価に実施できます

分析結果をもとに、肥料成分の富化状態に応じた複合肥料の処方がされることもあります。養液土耕栽培専用の肥料を製造販売するメーカーは、窒素(硝酸態、アンモニア態)、リン酸、カリ、マグネシウム、カルシウムの成分比が異なる製品をラインナップしています。分析結果と照らし合わせ、特定肥料成分が富化している場合には、その成分比が小さい製品を選択することが考えられます。

 

また複合肥料ではなく、単肥配合肥料を用い、分析結果から肥料成分バランスが適切になるよう、単肥配合を計算し配合を行う場合もあります。オーダーメードとなり、より低コストで適切な施肥を行うことが可能ですが、計算結果の確認や実際の肥料の計量など正確を期する必要があります。

→単肥配合についての記事はこちら

 

なお分析の周期について、作中に数回行ったり、月ごとなどに短縮し、その時々の土壌分析を行うことでより精緻な施肥設計に活かす場合もあります。

【参考】全農 土壌診断について

【参考】土壌診断によるバランスのとれた土づくり

 

リアルタイム土壌診断と施肥設計

毎作ごとの土壌分析の他に、栽培中にリアルタイムで土壌診断と施肥設計を行うこともあります。これは生産者自身が機器類を用意して、ハウス内で簡易に行うものです。養液土耕栽培の特性を活かし、土壌中の肥料成分の変化や植物の生育状況などに応じて、機動的に施肥設計を行うことが可能となります。

 

具体的には、土壌診断用の土壌溶液を採取し、ハンディタイプの機器による分析を行う方法があります。

 

土壌溶液の採取方法として、吸引法があります。これは多孔質のポーラスカップと呼ばれる棒状の機器を土中に挿し、シリンダーや真空ポンプにより負圧状態を作って土中より土壌溶液を採取するものです。潅水量が多く、土壌水分も豊富なキュウリやナス栽培で用いられる方法です。

 

その他の土壌溶液採取方法に生土容積抽出法があります。これは蒸留水に圃場から採取した土壌を一定容積の割合で加えて、浸出液を得る方法です。吸引方法が難しい場合に取られることもありますが、土壌採取の際には根を傷付けないことなど、注意が必要です。

pHメーターの一例(シンワ測定株式会社)

採取した土壌溶液の簡易な分析には、コンパクトなECやpHメーターが用いられます。この計測結果に応じて肥料濃度や肥料バランスの調整が行われます。また肥料成分ごとの濃度を計測できるコンパクトメーターや、試薬式の計測機器も市販されています。後者では試薬を変えることで、硝酸帯窒素やアンモニア態窒素、リン酸、カリ、カルシウム等の成分ごとのイオン濃度の測定も可能です。

ゼロアグリの土壌センサーもリアルタイムでのEC測定が可能

まとめ

土壌分析や土壌診断により施肥設計がより精密化され、土壌の状態や作物の生育状態に応じた適切な施肥を行うことが可能となります。一方で、作物によっては生育ステージごとに要求する肥料の量やバランスが変化することがあります。そのためステージごとの土壌分析や診断を行い、施肥設計に活かすこともあります。

 

ゼロアグリではこうした考え方に対応できる施肥量オート制御が実装されており、作物の生育に最適な施肥を自動的に行うことも可能となっています。その際にも土壌分析や土壌診断を併用することで、より施肥の実態を正確につかみ、施肥設計の調整などに反映できると考えます。

ゼロアグリの「施肥量オート調整機能」の詳細はこちら

 

参考文献

1. 加藤俊博、養液土耕(省力化・経営合理化技術)、『農業技術大系』花卉編 第6巻(農文協)

2. 安東赫、養液土耕栽培、施設園芸・植物工場ハンドブック(農文協)

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