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養液栽培や隔離栽培における排液量の計測と制御

養液栽培や隔離栽培では、栽培ベッド(培地)への給液に対して一定量の排液が栽培ベッドから発生します。給液量を制限して水ストレスを与え糖度を高めるトマトやメロンの栽培では排液はほとんど出ませんが、一般的には一定量の排液が発生します。排液量と給液量の比率を排液率(%)と呼び、培地の種類や作物などによって給液量の多寡の目安として使われています。

排液率が目安より高ければ給液が多く余剰の排液が出ていることになります。また排液率が目安より低ければ給液が少なく不足している可能性もあるでしょう。

給液量の測定は給液ラインに取り付けた流量計で行うことができます。排液量の測定には、様々な方法があり、本記事ではそれらについてご紹介いたします。


排液タンクからのポンプアップ方式

この方式では、栽培ベッドからの排液を地中埋設した排液タンクに集め、それをポンプアップする回数を計測するものです。タンク内の水位を水位センサーやボールタップなどで感知し、一定水位以上になった際にポンプによる排水を自動で行います。

排水によりタンク内水位が低下して一定水位で排水は停止し、その間の排水量を一定のものと考えて、1回の排水量×排水回数より1日当たりなどの総排液量を算定します。排水回数はポンプの動作回数を電子カウンターなどで記録可能です。この総排水量を排液率の算出に用います。

 

この方式は、まとまった数の栽培ベッドの排液を収集し、広い栽培面積における排液量を測定することが可能です。また排水動作1回当たりの排水量も安定したものと考えられます。他の方式でも同様ですが、排液には残渣やゴミが含まれ、排水ラインでの詰まりの原因となるため、適切なフィルターの利用が必要となります。

トマトの養液栽培
トマトの養液栽培(フィルム栽培)

ししおどし方式

この方式は、竹細工である獅子おどしの原理を応用しています。水がたまると傾いてたまった水を排出して元の傾きに戻る構造を用意し、その往復の動作回数をカウントすることで排水量を算定するものです。ししおどしの動作回数は電子カウンターなどで記録可能です。ししおどし自体は小型の構造ですので、比較的少ない数(最小で1ベッド)の栽培ベッドの排液量の測定に向いた方式と言えます。

非接触型流量計方式

この方式は、排液の配管に非接触型流量計を取り付け、配管中の排液の流れを定量的に感知するものです。超音波式などの方式があり、設置も配管に後付け可能です。非接触のため詰まりなどを心配することもありません。ゼロアグリの排液流量制御には、こちらの非接触型流量計を使用しています。

→ゼロアグリの排液流量制御について詳細はこちら

排液流量計
排液流量計

接触型流量計方式

給液量の測定と同様に、排液の配管の途中に一般的な流量計(水流で羽根が回転する接触型のもの)を取り付けて排水量を計測する方式です。1つの栽培ベッドの給液と排液の配管のおのおのに流量計を取り付ければ、排液率も気軽に算出することができます。ただし排液のゴミ等を除去しないと流量計の詰まりが発生する恐れがあるでしょう。

イチゴの高設ベンチ
養液栽培の排液流量制御なら、ゼロアグリ

その他の方式(培地重量計測方式)

排液量そのものを測るものではありませんが、電子天秤により培地重量を常時測定し、培地の水分の変化を把握する方式があります。養液栽培では最近多くみられる方式で、ロックウールやヤシガラのスラブ1枚を載せる形の電子天秤を設置します。蒸散と吸水や給液、排液に応じた培地重量変化をリアルタイムに追うことが可能となります。隔離栽培でも培地を詰めたコンテナ1個を電子天秤に置き、同様な計測が可能です。

パプリカのロックウール栽培
パプリカのロックウール栽培

今後の展開

以上のように様々な排液量の計測方式があり、養液栽培では標準的に用いられ、また隔離栽培でも給液量を精密に制御したい場合などに用いられています。

ゼロアグリは養液土耕栽培において土壌水分の計測による給液のAI制御を行っていますが、このほど養液栽培や隔離栽培で活用できる排液流量計を用いた潅水制御機能をリリースいたしました。排液量を加味した制御をすることで、養液栽培や隔離栽培においてもより精密な潅水制御ができるだけでなく、液肥使用量の節約にもつながります。

⇒排液流量制御機能についてのプレスリリースはこちら

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000060692.html

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