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ゼロアグリが潅水量/液肥濃度の調整を自動で行う仕組み

ゼロアグリと潅水ユニット

ゼロアグリはクラウド上で作物が必要としている水の量を推定し、制御盤を通して電磁弁の開け閉めを調節することで点滴チューブから出る水の量をコントロールします。また液肥混入器を使うことで、潅水量に加えて液肥濃度もゼロアグリで制御することができます。潅水量も液肥濃度も、最大6系統まで別々に、独立して調整することができます。

それではゼロアグリは、このような潅水施肥制御をどうやって実現しているのでしょうか。

こちらの記事ではゼロアグリの使用に必要な潅水資材の働きや、潅水量や液肥濃度を調整している機械的な仕組みをご紹介します。

ゼロアグリの動く仕組みを知って資材調達や配管工事を計画いただくことで、ゼロアグリの性能をフルに活かした栽培管理を行うことができます。また既存資材の活用など、コストを抑えた導入にもつながります。

ゼロアグリの潅水量、液肥濃度調節のしくみ

ゼロアグリはセンサーで計測した土壌水分量と、気象予報から取得した予報日射データをもとにして植物の蒸散量を推定し、潅水量を決定しています。

潅水する時間帯は、朝7時から昼すぎ15時まで、などとユーザーが指定でき、その時間帯の中で必要なタイミングで潅水されます。1時間に1回潅水量の判断が行われ、必要な量だけ潅水されます。土壌水分が十分に高い場合はその回の潅水はパスされ、潅水は行われません。

ユーザーは管理画面から「目標土壌水分量」を変更することで、潅水量の調節を行うことができます。ゼロアグリは日射量や土壌水分量の減り方を考慮して、土壌水分量ができる限り目標値にそって一定になるように潅水をコントロールします。

目標土壌水分量の決め方については、「ICT養液土耕マニュアル」の3ページをご覧ください

ゼロアグリの導入に必要な潅水資材とその働き

まず簡単にゼロアグリを導入する場合の潅水資材についてご紹介します。基本的には、こちらの図の通りに資材を用意し、配管をする必要があります。重要なポイントに絞ってご紹介します。

ゼロアグリに必要な潅水資材構成
ゼロアグリの導入に必要な潅水資材の構成

電磁弁

制御盤からバルブの開け閉めをするためにゼロアグリの仕様に合った電磁弁が必要です。液肥濃度を調整するための1次電磁弁、系統に流れる潅水量の調整を担当する2次電磁弁の2種類が必要となります。液肥濃度を調整するための1次電磁弁が2個、系統ごとの潅水量を調整するための2次電磁弁が系統の数だけ必要になります。液肥混入を行わず水のみ流す場合は、1次電磁弁は不要です。電磁弁は、ゼロアグリの制御盤仕様書に記載の、使用に適合したものを選定します。

ゼロアグリ制御盤の仕様書はこちら

電磁弁
電磁弁

液肥混入器

水に液肥を混ぜるための潅水資材です。ゼロアグリでは比例式液肥混入器と呼ばれる、電気の力を使わず通った水の量に比例して液肥を吸い込んでくれるタイプの液肥混入器を使用します。液肥混入器を2個使用して、2種類の液肥を使う2液式が主流となっています。

液肥混入器(ドサトロン)

流量計

通過した水の流量を計測する計器です。ゼロアグリは配管を流れている流量を測定することで、何分何秒電磁弁を開ければ植物に必要十分な潅水を行えるかを把握しています。それによって、潅水量の細やかな調整が可能になります。

また日々の潅水の結果はすべて記録されており、ゼロアグリの管理画面から確認することができます。系統あたり、10a(1反)あたり、1株当たりで何リットル水をあげたかを振り返り、今後の栽培の参考にすることができます。

流量計も、電磁弁と同様ゼロアグリの仕様に適合するモデルを選択します。

流量計

フィルター

水質や使用するチューブの種類によって使用するフィルターの数や種類を検討します。点滴チューブは潅水チューブと比べて水の流路が複雑で吐出口も小さく詰まりやすいため注意が必要です。基本的な構成としては原水が汲み上げられてきた直後にサンドフィルターを入れ、流量計の手前と、液肥混入器の後にそれぞれ120メッシュのディスクフィルターを使用することが多くなっています。

ゼロアグリによる液肥混合と潅水量調節の流れ

ゼロアグリによる液肥混合と潅水量調節の流れを、原水から各系統のチューブに至る水の流れに沿ってご説明します。

ゼロアグリに必要な潅水資材構成

① ゼロアグリから指示のない平常時、水は1次電磁弁のところまで来て止まっています。潅水が開始されるときは、制御盤からの指示で1次電磁弁が開きます。配管はフィルターの先で2手に分岐し、1次電磁弁は水だけが通る配管と液肥混入器を通る配管の2か所についています。(図)この2つの1次電磁弁を開け閉めすることでゼロアグリは各系統に流れる液肥の濃度を調節しています。

 

② 2手に分かれた配管がもう一度合流した先に、2次電磁弁があります。2次電磁弁は系統の数だけ使用します。2次電磁弁を開け閉めすることで最終的に各系統に流れる水もしくは液肥の量を調節します。2次電磁弁が開くと、液肥が点滴チューブに流れ込み潅水が行われます。

ゼロアグリ制御盤
ゼロアグリは最大6系統までの制御が可能

以上の動作を系統の数だけ繰り返すことで、系統ごとに潅水量や液肥濃度を変えることができます。ゼロアグリは最大6系統までの例えば、ユーザーが朝7時から昼15時を潅水時間に指定していた場合、1時間に1回、合計8回この動作を繰り返します。

ゼロアグリの系統分けと、潅水の時間割

ゼロアグリは1台で最大6系統まで個別に潅水量、液肥濃度を管理することができます。

 

潅水が行われるのは1時間に1回なので、1時間を6区画に分けて潅水を行う仕組みになっています。0分台から10分までは1系統、10分台から20分までは2系統というような具合に、上に説明した潅水量と液肥濃度の調整の動作を、系統の数だけ繰り返し行います。通信や計算に使用される時間を加味して1回に潅水できる時間は最大で8分30秒となっています。

潅水の時間割

潅水は、ユーザーが指定した時間の間、例えば朝7時から昼15時までなどで実施されます。指定された時間内であっても、土壌が十分に湿っており水が足りていると判断された場合は潅水は行われません。

まとめ

以上のようにして、ゼロアグリは6系統の潅水量と液肥濃度を個別に調整し精密なコントロールを行うことができます。

 

既存の資材を使用できるかどうかや、系統の分け方などによって導入のコストや利用開始後の使い勝手が変わってきます。導入ご検討にあたり、ご自身のハウスの設備に応じた設置方法をご相談されたい場合は、お気軽にお問い合わせフォームかお電話にてご相談ください。

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