特に近年、機器類を借りて使いつつ、付随するサービスも受ける形、つまり「物のレンタル+サービス」という形態のサブスクリプションが増加してきています。サブスクリプションとは何か、農業資材のなかでも養液土耕向けの資材としては日本初?のゼロアグリのサブスクの活用方法やおすすめ生産者をお伝えします
※ゼロアグリのサブスクプランは2021年3月31日をもって提供終了いたしました。
サブスクとは
サブスクとは、サブスクリプション(subscription)の略称で、
定額を支払っている期間中はサービスの提供を受けられる権利を購入することです。
定額制サービスと言っても良いでしょう。
特に近年、機器類を借りて使いつつ、付随するサービスも受ける形、つまり「物のレンタル+サービス」という形態のサブスクリプションが増加してきています。
従来は機器類を購入して自分のものとして所有し利用する形態が主流でした。
サブスクリプションを利用することによって、購入と異なり、機器を所有することなく利用する権利のみを受けることができ、所有と利用を分離した形態と言えます。
物の利用を伴うサブスクの身近な例
以前よりあるダスキンによる衛生用品の提供がサブスクの元祖と言えるでしょう。
フロアマットはダスキンが所有、定期的に洗浄などをしたものに交換し、ユーザーはつねにきれいなフロアマットを利用し続けられる。つまり、いつでもきれいなフロアマットを利用し続ける権利を買う、というサービスです。
最近ではミネラルウォーターのサーバー提供などもあります。
水が無くならないように、常に水タンクの追加・交換をする事がサービスに入っています。またサーバー台も購入の必要はなく、借りるだけ。メンテナンスもしてもらえます。ユーザは、いつでもおいしい水を飲める権利を買う、というサービスです。
電子タバコにも、サブスクリプションサービスがあります。
農業資材でのサブスクリプションサービスは、普及が始まったばかり。ゼロアグリのサブスクも非常に先進的に見えますが、実は身近に昔からあるサービスです。
農業資材のリースとサブスクの違い
農業資材の業界には類似サービスとしてリースがあり、農業用ハウスや暖房機、養液土耕用の自動潅水装置、ゼロアグリでも、広く利用されています。
一般のリース契約では、所有権はリース会社にあり、ユーザーは一定期間の使用権の対価としてリース料を月額などで支払います。
サブスクリプションと同様、初期投資を抑えることが可能です。
ただしリース契約した資材が故障・破損しても無償交換は原則として出来ませんし、一定以上の支払い期間が義務となり、早期解約の際は違約金支払いを求められることもあります。
それに対しサブスクでは以下のような柔軟さがあります(ゼロアグリのサブスク契約の例)。
・試せる(4か月目以降は、月単位で解約可能)
・機器が故障した場合、交換を保証
・農閑期は休会可能
・土壌センサーの数増減可能
・一括購入が対象となる補助金が出る場合、それまでのつなぎ利用
・支払期間の義務が無く、いつでも違約金無で解約可能
・いつでも最新の機器や技術に乗り換え可能
・アフターサポートの手厚さを選択できる
経営的観点から見た際の灌水システムなどの新規導入設備選定のポイント
養液土耕設備を導入したい、あるいは既存の潅水設備の機能をアップグレードしたい場合の、サブスクを使った設備導入の考え方をお示ししたいと思います。
例として、本格的な導入の前にゼロアグリの機能を試してみたいとしましょう。
その場合は一括購入では試すことは出来ず、リースでも難しいでしょう。
試しとしてサブスクを利用するケースでは・・・
・まずサブスクで1区画だけ機器類や土壌センサーを導入して半年間だけ様子をみる。
・結果が良ければ次作から本格導入を検討する材料にする。
・土壌センサー本数の増減が可能なので、土壌条件の違いに合わせて本数や制御系統の調整をしてみる。どこまで細分化するかの確認も行ってみる。
・上手く行けばそのまま利用を続ける
・慣れてきたら、アフターサポートのシンプルなプランに変更し、利用料を安く抑える
このような形で本格的な設備導入を行う前に、ご自分の圃場で実機による効果を試すことの可能です。
サブスクを設備選定についての意思決定に役立てられることがポイントと考えらえます。
サブスク利用のメリット・デメリット比較
初期費用を最小限にして、気軽に導入ができる
まずはお試しから利用することができ、気に入らなければ解約も可能です。
高額な設備でも、お試しから入れるため、可能性を高めることにつながります。
(リースでは長期間の契約が前提になり、お試しという訳にはなりません。)
機器設備設計の柔軟性が高い
機器構成を固定的に考える必要がなくなります。
規模拡大を行う際、潅水系統を増やして違う管理をしたい場合、他作物の栽培を追加したい場合などに柔軟に対応が可能になります。
(購入やリースした機器では、設計変更に当たる機器の増設や系統変更などにはすぐには対応できません。)
機器設備を元に戻す際にも、費用を低減できる
新たに追加設備を導入したり、既存設備を改修した場合に、良い結果とならない場合もあるかもしれません。
その際にサブスクを利用することで、元の設備にもどす際の費用負担も低減することができます。
機器の損傷や故障時の交換が可能になる
気象災害や天災・獣害による機器の損傷や故障については、新たな機器に交換されるサービスが付加されています。
近年のように毎年、国内産地のどこかで災害が発生する中では、安心材料のひとつになるでしょう。
(リース契約でも同様なサービスが付加される場合があります)。
万が一のリスクヘッジになる
天候不良や大型災害に見舞われ、経営が苦しくなってしまった時には、一旦解約したりサポートのシンプルな低価格プランに変更してコスト削減をする事も出来ます。
一括購入やリースの場合、いかに不作であったとしても、受けてしまった融資やリース料の支払い義務がなくなる事は通常はありません。不安定な農業経営を行うなかで、「借金をして物を買う」事のリスクは大きいと言えます。このリスクを避ける手段としてもサブスクリプションの利用は有効です。
追加費用なしに新たなサービスを受けられる可能性がある
ゼロアグリのサブスクリプションサービスは、故障交換保障付きの制御盤や土壌センサーと、モニタリングや遠隔操作・分析が出来るウェブアプリの利用、ユーザーサポートサービスを提供しています。
実は機器交換の条件には、故障だけでなく、追加される新機能の利用を希望していること、も含まれており、ウェブアプリや機器機能のバージョンアップと合わせ、常に最新の機器・サービスを利用することが可能になっています。
【サブスク利用のデメリット】
一括購入やリースよりも費用が高くなる場合がある
一括購入やリースに比べ、長い目で見た時の総費用が割高となるデメリットもあります。
故障交換保証や手厚いアフターサポート、支払い期間が柔軟であるというメリットと、割高になる費用について、よく検討する必要があります。
規模拡大志向・技術志向の生産者にはサブスクがお勧め
日進月歩のIoTやAIの分野で、制御盤やセンサー類の世代交代は、耐用年数よりも短いかもしれません。常に最新の道具を取り入れていきたい、という考え方の生産者にとっては一括購入よりもサブスクのメリットが大きいと言えます。
特に規模拡大に伴い、従来のゼロアグリを拡張して使いたい場合には、サブスクによって設計や導入の自由度が高いものになりそうです。
将来の規模拡大の計画がある場合には、サブスクのメリットとデメリットをゼロアグリ導入前に検討することを、お勧めします。
【関連情報】ゼロアグリのサブスクリプションサービスの概要はこちら