ブログ導入事例

井中優治様(行橋市・メロン)|AIが作ったメロンの初値は10万円、ゼロアグリで「生産安定の最低保証」と「栽培データの商品化」を目指す

メロンと井中さん

所在地:福岡県行橋市

栽培作物:メロン

規模:農場全体1.2ha ハウス40a うちゼロアグリ使用範囲15a

経営体:法人(3名)

ー井中さんのご経歴について教えてください。

福岡県の農業大学校を卒業して、その後オランダに海外研修の派遣事業で1年半学びに行きました。オランダなので、電照菊の栽培が盛んで、その勉強をしてきたんですけども、帰ってきてからは、広告代理店に入りました。広告代理店には8年間務めました。その後父のやっていた農業経営を引き継ぐ形で、農業を始めました。


ー広告代理店に入られたのは何か目的があったのですか?

すぐにでも農業をやりたい気持ちもあったんですけど、やっぱり何かやるのにも資本金が必要なので、それを準備する目的と、あとはどうしても農業って世界が狭いので、企業で儲けのこつを学んだり、また人脈作りができたら良いなとも思っていました。

実際農業を始めてからも、広告代理店で学んだマーケティングとブランディング知識を活かし、自分で野菜の売り方を考え売っていました。市場出荷だと決められた価格で売るしかないので、自分が努力して作ったものは、やっぱり自分で価値を決めたいという思いがありまして。

それがきっかけで九州の大手スーパーさんと一緒に、農業法人の立ち上げにも参画しました。普段あまりスーパーに並ばないような野菜も、チャレンジ野菜として作って売ってみたり、自分の作ったものを直にお客様が興味を持って買ってくれるのが面白かったですね。


ーそんな中「農業法人サンビレッジ」を立ち上げることになった理由はなんですか?

お世話になった税理士さん経由で、村田さん(サンビレッジ社長)をご紹介いただいたのがきっかけです。村田さん自身は農業素人ではあるのですが、農業を始めたいという強い思いがあって、そこの相談に乗り始めたのが最初です。

ー栽培作物をなぜメロンにされたのですか?

実は初めはマンゴーを作りたい、という話があったのですが、栽培も難しいですし費用対効果も合うかどうか不安がありました。村田さんからは果物が良い、との要望をいただいていたので、ここの地域であまり作られていない果物で差別化ができそうなもの、と考えて、メロンにしました。

ゼロアグリで管理しているメロン圃場

ーゼロアグリを導入いただいたきっかけはなんですか?

第一に村田さんが農業について素人なので、農業知識のある方が本来必要なのですが、4反の経営面積で人を雇っていたら、経営的には利益が出ない状態になってしまいます。

ですので、村田さんが農作業しつつ、家族経営みたいな形でやっていくのが1番ベストだと思い、その際に1番知識がないと難しい部分が施肥潅水になります。ここの部分を何かサポートできる仕組みはないかと探し始めたのがきっかけでした。

 

今は村田さんとその娘さん、フルタイムのパートさん1名に、僕がサポート・アドバイスするような形の体制でやっています。

メロンの出来をチェックする井中さん

ー最初ゼロアグリの話を聞いてどう思いましたか?

僕が思っていたAIのイメージと、実際営業さんの話を聞くと、少しギャップがありました。話を聞く前は、メロンの肥大に合わせた潅水施肥含めAIが 全部やってくれて、収穫や植え付け以外は何もしなくて良いのかなと思っていました。例えば大学の農学部の教授がメロンの生育ステージに合わせた潅水のデータを持っていて、それらを元に緻密なプログラムを組んでやってくれるというような。

実際営業さんの話を聞いたら、意外と限定的なんだなと思いました(笑)結局、水をきらなきゃいけない、肥料増やさないといけないタイミング等は、メロンの生育状態を見てこちらから指示しないといけないですし、土質によってもコントロールしなきゃいけないから、手間かかって全然楽になんないじゃないかよ、と(笑)ただ逆に言うと、土質や気象環境って地域によって全然違うので、かなり汎用性が高いということと、こっちがAIに学習させられるメリットがあるなと思いました。

 

それ以外の部分は、製品としてとても魅力的だと思いました。センサーで土中のECがなんぼとか、1株あたりの潅水施肥量が見れたりというモニタリング機能はその1つです。あと、例えば水分設定を30パーセントから20パーセントに減らしたいというときに、通常の機械だと一気に落としてしまうと思うんです。ただゼロアグリのAIの特性で、段階的に減らしてくれるようになっているので、作物へのストレスを減らせる点がめちゃくちゃ大きいと思いました。晴れの日くもり等の微妙な調整もやってくれますし。

 

 

ーそれで導入を決められて、今回施工も自分でやられたんですよね。

そうですね。ゼロアグリ本体は200万いかない金額で買えると思うんですけど、そこに施工費がかかってくると300万円くらいにはなってしまうので、かかる費用を少しでも減らせたらとは思っていました。実際自分でできるレベルですしね。

あとは、他の機器とのつなぎやセンサーをどういう風に設置するかだったり、最初の初期設定は、ゼロアグリのサポートの方とLINE電話でお聞きしながらできたので、特に困ることはなかったですね。

設置されたゼロアグリ

ー導入した当初、苦労したことはなんですか?

トマトやキュウリは栄養成長と生殖成長が同時に並行して段階的に行われる作物なんですけど、メロンは葉が大きくなる、茎が伸びるといった栄養成長と、花が咲く、実が大きくなるといった生殖成長が交互にくる作物です。通常花芽分化をしたら水、肥料をきらないといけないといけないんですけど、きるときに、どれくらいの水分量に設定したらいいのか、というところが1番悩ましいところでした。要は作物ごとの最適な水分量がわからなかったというか。

今回2品種やって、1品種は着果率が70パーセント超えてましたが、1品種は50パーセント達することができなかったです。大体500株植えて、200ちょっと着果したという感じです。

今回の経験を元に、もうどうすれば良いのか自分の中ではわかったので、ゼロアグリを使ったメロンのうまい作り方みたいなのは、自分の中で解はあります(笑)

 

ー逆に導入してよかったことはありますか?

水分量の調整のオートモードがかなり優秀ですね。メロンは水をきらして作る作物なんですけど、実を大きくしていくにはたくさん水をあげないといけないんですね。そのときに、急激にあげると実が割れちゃうんですけど、ゼロアグリの場合は段階的にあげていってくれます。なおかつ、施肥管理も、ppmを設定しておけば良いので、自動的に上げていくことができるという。そこらへんは、メロン栽培ととても相性が良いです。

あとは、ppmの計算をしなくていいのが感動しましたね。これ今まで手計算でやってたんだよなーと(笑)潅水施肥が楽になったので、労力の体感値としては、3割くらいは楽になりましたね。

 

ーゼロアグリのWEB画面の使い勝手はどうでしたか?

ゼロアグリ独特の準備潅水の設定がよくわからなかったりで、最初戸惑った部分もありました。準備潅水までのフォローアップは、営業さんもしっかりやった方が良いのかなと思いました。通常の生産者の方だと農作業の中にそういう感覚ってないと思うので。

ー井中さんが思うゼロアグリの良さって何ですか?

ゼロアグリは土の中をモニタリングするという装置ではすごく良いし、他の製品にはない部分で強みだと思っています。

モニタリングの数字は、あくまでも目安にしかならないと思いますが、目安になるだけで全然違うんですよね。自分自身では、感覚値で水分量何%くらいだろう、といって水をあげて、当然理論値ではわかっているんですが、結局土質によって全然変わるので、土の中がどうなっているかというのが分からないんですよね。それがゼロアグリの場合だと一目で見れるというのが大きいです。

あとは、狙ったECに近づけやすいというのもあります。生育初期1、2くらいあげて、肥大期で2.5、 3くらいまであげたいとなったときに、これをモニタリングですぐに見れるので、めちゃくちゃ便利です。

ー今作作ったメロンの出来はどうでしたか?

初値で10万円ついたので満足です(笑)それで結構メディアにも取り上げてもらって、地元の方に知っていただけたので、お盆までに比較的に売り抜けてよかったです。

栽培中のメロン

ーメロンの売り方やブランド化でこだわりを教えてください。

今回「大吉メロン」というブランド名も自分で考えてつけました。メロンって自分で買うものではなくて人からもらうものだと思うので、もらうときに大吉ってついてたら良いことありそうだなと思ってもらえるかなと。

売り先は、いま直売所のみですね。直売所で全部売れてしまいますね。地域柄他にメロンを作っている人もいないので、例えば地元の方が地域のものとして贈り物をしたい、となったときの新たな選択肢として選んでもらえるようになったのかなと思います。

あとは、「AIがコントロールして作ったメロン」というのがメディアからもそうですし、意外と農家仲間からの評判も良かったです。メロンって栽培として難しいイメージがあるので、それをAI使ったらできて、かつ初値10万円となったら、どんなものなのかと興味を持っていただけました。 

ー今後の展望はありますか?

ゼロアグリは次栽培するときもぜひ使いたいですね。僕の中で、メロン以外にもゼロアグリと相性良い作物が何個かあると思っていて、ゼロアグリで新しい作物の栽培にチャレンジしてみたいです。

あとはメロンに関しても、やれることはたくさんあると思っています。今ハウスでいうと奥の5連棟はゼロアグリ使った村田さんの管理で、手前の4連棟は、僕が手潅水で管理をしています。村田さんには勉強も兼ねて完全にお任せはしているんですが、管理の違いでどう作物が変わるか、というのも見ています。

ゼロアグリ使っていろんな作物栽培してみて、生育管理のデータ蓄積していきたいなとも思っています。そういったデータは売れるんじゃないかなと思っていて、それはルートレックさんとぜひ相談したいです(笑)

農業にとって、野菜を売らなくて良くてデータやノウハウを売れるというのはとても革新的なことで、農業の新しいビジネスモデルを作っていけるんじゃないかなと思っていますね。やるのであれば、そういうデータをとるための農場を作りたいですね。

隣のハウスで試しに育てているブロッコリー

ーゼロアグリに対して今後こうなったらいいなと思うことはありますか?

製品の見た目や管理画面からAI感を感じないので、たとえば設定を変えたときに、「今AIが考えています」みたいなポップアップが出てきたりとかしても良いんじゃないかなと思っています。機械側もLEDのランプが設定完了したら光るとか(笑)

僕が元々広告代理店にいたから、どうしてもメディアからの受けも考えてしまったりするんですけど、もっとエンターテイメント性があっても良いんじゃないかなとは思いますね。例えばゼロアグリから準備潅水や設定変更のアナウンスが流れて、その音声は選べる声優にして課金制にするとか(笑)半分冗談ですけど、絶対やる人いると思うんですよね(笑)

あとは、メロンの生育に合わせて栽培指導がしてもらえると嬉しいですね。やっぱり初心者の方だとゼロアグリを最初どう使えば良いか分からないと思います。極限期の水をきらないといけないタイミングと、猛暑期で水をあげなきゃいけないタイミングとあると思うので、きちんと栽培知識がある方がゼロアグリに学習させると、2年目からすごく楽になるんじゃないかなと思います。

ゼロアグリの場合は、作物を見る目の部分は持っていないので、そこは人間がきちんとカバーをして、農業技術をわかっている人が使いこなしてなんぼなのかなと思う一方で、ちょっとプロ向け製品な感じもします。

僕はゼロアグリライトみたいな、土の中のモニタリングだけできる製品や潅水施肥設定は全部自分でやるといったそういう製品があっても良いんじゃないかなと思っています。

一方で、ゼロアグリプロみたいな形で、地上部との連携をして、ハウスの自動開閉だったり飽差管理も一緒にできる製品もあって良いのかなと。ヨーロッパの技術体系は、光合成を促進させるという観点で、土はよくわかんないから一旦無視しようということで地上部の環境制御が発達してきたんですよね。そこで、地下の話は置いていかれているので、そこができるゼロアグリが地上部と組み合わさると最強になるのではないかと。

他のメーカーさんと連携しなくちゃいけなかったり難しさもあると思うんですけど、絶対生産者の方にとってはメリットあると思うので、そういうときに自分みたいな現場のことをわかっている人間がデータ提供したり、そういった形で一緒にできることはあると思います。

ここまでできると、ある意味「安定生産の最低保証」ができて、もう少し農業に対するハードルも下がるのかなと思っています。そういうことに対して僕自身も貢献できたら嬉しいですね。

タイトルとURLをコピーしました