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「G20 Agricultural Entrepreneurs Forum」レポート

2016年6月20日 更新

 

2016年6月2日に中国(西安)にて「G20 Agricultural Entrepreneurs Forum(農業企業家フォーラム)」 が開催されました。これは、6月3日に開催された「G20農業大臣会合」 に併せて開催されたフォーラムとなっています。

各国の省庁からの方々や、召喚された大学ならびに一般企業からの発表やパネルディスカッションがあり、40名を超える方々の話をお聞きすることができました。概要を記します。

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・世界人口のうち20%を占める中国では、農業生産量でも1位を占めている。この生産量を維持するためには、農業の機械化が必須である。機械化を進めた小麦では、ここ12年間、生産量が毎年増加し続けている。

・2050年までに世界全体の人口は97億人に達すると推測されている。そのなか、農業の生産性は、少なくとも6~7割は向上しないとこの人口増を支えきれなくなる。したがって、個々にまたは協調性をもって、抜本的な改革と新しいシステムの確立、世界経済の中に取り込めるような新しいよりよいモデル作り等により、農業と農村開発における持続可能な生長をもたらすようなイノベーションが必要となってくる。

・2030年までには世界的に10億人の人口増が予測されており、6億人が若年層である。しかしながら、職につけるのは2億人と予測されており、これら若年層を農業分野にて雇用することが急務である。

・さらに中国では、若年層の傾向として、農村から都市へと移住したい者が多く、農村地域では若手の人で不足が深刻である。
中小規模の農家は、全世界で合計2億件と、世界人口の就労者のわずか10%であるが、全世界の食物生産量の20%をこの中小規模農家によってまかなっている。
地方、地域における中小規模の農家経営が鍵となる。若手が入り、就農者の新陳代謝を進める仕組みが重要であると考える。BayerやDuPontといった欧米大企業は、自分たちも「運命共同体」ととらえ、これら地方の若年層の農学研修に熱心である。

・世界規模での農業の底上げには、生産機能の底上げだけでなく、無駄な廃棄物をなくすため道路・港湾インフラや市場機能を引き続き整備しなければならない。また、市場流通データの有効活用で、需給のマッチングを行ったり、サブライチェーン全般にわたる金融商品の充実も必要(例、保険など)

・世界的な仕組み作りとして、公的機関による農業関連の政策や枠組み作りも重要だが、同時に民間、特に企業家が率先して活躍できるような仕組み作りも重要である。

・中国の生鮮物の流通においては、eコマースの普及も不可欠だが、これにおいてはマーチャンダイジング、品質などもろもろの標準化の定義と定着、とくに田舎から都市部への流通の仕組み作りが必要である。(カンファレンスに参加したJDグループが特に戦略的に取り組んでいる。またeコマース大手のAlibabaも生鮮物のオンライン流通に力を入れている)

・中国西安にてG-20農業大臣会合を持つ意味合いについては、当省ではおよそ6,700年前から農業が営まれており、それは中国の文明の進化と共に歩み続けてきた。また古くから農業用の人口運河が建造され、こちらも長期にわたり農業を潤わせた要因である。西安省といえば小麦が有名だが、リンゴやキウィなどフルーツの栽培も盛んで、りんごに関していえば全世界の1/8(約12.5%)を生産している。

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