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養液土耕栽培システムの潅水設計。点滴チューブやポンプ、タンクの選び方

養液土耕栽培で潅水システムを新たに設計する際の手順とポイントをご紹介します。無駄のない機器構成にすることで、必要十分な機能や性能を発揮しコストパフォーマンスを高めることができます。ぜひ、参考にされてください。

潅水チューブの選定

養液土耕栽培での潅水チューブには、点滴潅水用のものと散水用のものがあります。前者は株元にピンポイントで、後者は広範囲での潅水を行います。

点滴潅水用では、さらに圧力補正機能が付いたものがあり、一定範囲内の水圧で流量が安定する機能があります。

また点滴潅水用の潅水穴の間隔には、10cm、20cmなどがあります。より精密な潅水を行う場合、点滴潅水用で圧力補正機能付きのものをお勧めします。

1次側資材の選定

液肥混入機から見た1次側資材には以下のものがあり、おのおのの能力や仕様等を検討します。

原水タンク

井水利用の場合、井水ポンプから直結するのではなく、タンクに溜めてバッファーを持たせ、井水側でのトラブルが潅水に及ばないように回避をはかります。栽培面積に応じた容量(1t~5t程度)を選定します。

ローリータンク

送水ポンプ

原水タンクから液肥混入機に原水を送るポンプです。栽培面積に応じたポンプの流量(毎分〇ℓ)を選定します。

フィルター類

機器類や潅水チューブの目詰まり防止に欠かせない資材です。メッシュフィルター、ディスクフィルターなどがあり、必ず定期的に洗浄を行います。潅水チューブの仕様にも対応するフィルターの種類などが記載されていることがあり、選定の参考とします。

なお、原水に鉄、マンガンなど詰まりの原因となる成分が多い場合、水質改善機器(除鉄等)が必要になる場合もあります。原水分析を行って、これらの成分が多い場合には導入を検討する必要があります。

潅水ブロックと流量算定

総流量の算定

図面上で畝ごとに潅水チューブを配置(畝あたり2本)して、潅水チューブの総延長(m)を計算します。潅水チューブの吐出量(ℓ/m/分)が分かっていれば、潅水チューブの総延長(m)を掛け、毎分の総流量(ℓ/分)を算定できます。

潅水ブロックの分割

前記の毎分の総流量(ℓ/分)と、送水ポンプ、液肥混入機側の流量(ℓ/分)を比べて、潅水ブロックの分割を行います。

分割することで1台の液肥混入機で、より大面積の潅水が可能になります。

なおゼロアグリではブロックごとに液肥濃度を変える機能もあり、品目に応じブロックを分割して液肥管理を変えることも可能です。

配管資材の選定

各ブロックでの流量を確保するための配管資材(塩ビ管等、口径で20A、25Aなど)を選定します。

同様に各ブロックの潅水切替えを行う電磁弁(同じく20A、25Aなど)を選定します。

流量、圧力等の確認

今一度、潅水システム全体での1次側(送水ポンプ、液肥混入機)の能力(毎分流量)と、2次側の必要量(各潅水ブロックでの毎分吐出量)のバランスを確認します。

バランスが悪ければ、1次側の能力を見直すなど、調整をします。

 

なお、潅水チューブの均一な潅水に必要な圧力(潅水チューブの仕様)についても、1次側の圧力と確認します。圧力調整弁を用いて調整する場合もあります。

潅水制御方法の選択

潅水システムでは、潅水制御(潅水のオンオフを自動で行うこと)の方法に以下のものがあります。

タイマー式制御

手動バルブ開閉を行っていたものを電磁弁とタイマーの組合せで自動化したものです。

1日の潅水時間は24時間タイマーで、1回あたりの潅水時間はサブタイマーで設定します。

潅水を自動化するのみで、タイマー設定は気候や生育状況に応じて調整が必要です。

日射比例制御

あらかじめ定めた積算日射量に応じて潅水を自動で行います

1回あたりの潅水時間は、別途設定を行いますが、土壌の保水力や作物の大きさにより必要潅水量が異なるため、生育ステージなどに応じた設定の調整が必要です。

ゼロアグリ

日射比例制御と土壌水分率などからのAI制御を組み合わせた潅水を自動で行います

きめ細かな潅水制御で土壌水分率を安定化でき、あわせて肥料濃度の調整をプログラム化する施肥量オート調整も可能となりました。

各制御方法について、詳しくは下記のブログ記事をご覧になってください。

https://blog.zero-agri.jp/agrimagazine/auto_irrigation

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