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萩原農場様(北海道江別市・キュウリ)|母が遺してくれたキュウリ栽培、精緻な自動潅水と規模拡大により反あたり売上500万円超えで未来の収益の軸へ

所 在 地:北海道江別市

栽培作物:キュウリ

規    模:30a(ハウス8棟)

経 営 体:従業員4〜5名(パートさん含めると50名ほど)

ー農場のことを教えてください。

北海道江別市で80年営農をしています。僕の代で3代目となります。レタスや白菜などの露地栽培や水稲をやりつつ、ハウスではキュウリ栽培をやっています。

栽培している露地レタス

ーキュウリはいつから栽培をされているのですか?

20年くらい前から栽培はしていました。僕の母が、元々ハウスでいろんな作物を栽培していたのですが、がんを患ってしまい、そのタイミングでハウスを畳むかどうかという選択を迫られました。ただ母が特にキュウリ栽培に力を入れていたのもあり、キュウリ栽培を続けることで、母も喜んでくれるのではという思いで、キュウリ栽培を続けることにしました。闘病生活をしながら栽培ノウハウを教えてくれたりして、結果亡くなってしまったのですが、今があるのも母のおかげだと思っています。

5年前くらいから本気で栽培し始めたのですが、そのタイミングで本州の冬作でやっているつるおろし栽培(※)に栽培手法を変えました。つるおろし栽培は、キュウリネットでの栽培(収穫しながら剪定やつるの見極め等の管理作業をやらなければならず、技量が求められる)に比べ、作業量は増えるのですが、やっていることは単純で、作業が細分化しやすいといったメリットがあります。つまり、パートさんにも任せられる領域も増えるということで、かけるコストをきちんと考えられれば、大規模に栽培が可能となります。それで栽培面積を拡大して、元々ハウス2棟だったところから8棟となりました。

つるおろし栽培とは

キュウリハウス

ーゼロアグリをいれた経緯は何だったのでしょうか?

つるおろし栽培に変えてから、スケール化が可能になって、人手もある程度確保できることはわかっていたのですが、潅水にかかる手間は課題に感じていました。井戸から水を吸い上げて、タンクに貯めて、液肥を混ぜて、フィルターを通して各ハウスに潅水するというのが日課の作業で、1人の時間が半日くらい割かれていました。気温が上がってあと1回潅水したい、となっても工数的に難しいことも多かったです。そこで、まずは潅水作業を効率化していきたいと考えました。

ハウス内の様子

ー他の潅水システムもご覧になられたのでしょうか?

そうですね。色々見ましたが、ゼロアグリが1番使いやすそうで、人が潅水するよりも精度が高そうな気がしました。AIっていうのは嘘だろって思いましたが(笑)

どうせ機械化するなら、人がやるよりも頭が良くて小回りがきくものじゃないと意味がないと考えており、そういう意味でゼロアグリは期待できそうだと思いました。少量多潅水で作物にストレスがない状態を作れるので、それで収量や品質にも良い影響があって、最初の導入コストはかかったとしても、収益が上がれば導入効果は高いと考えました。

ー導入や施工の際、どのようにやられたか教えてください。

施工はゼロアグリの北海道の代理店として入っていただいている「サンホープ北海道」さんにやっていただきました。ゼロアグリを入れたいと思った当初2019年は、北海道で施工してくれるところがなくて、1年くらい待ったんですよ。そうこうしているうちに、コロナになって、ちょうど導入するときにはコロナの補助金も活用することができました。

いまは4系統使っていて、1系統でハウス2つ分の潅水をやっています。

設置されたゼロアグリ

ーゼロアグリの良さはどういうところにあると思いますか?

細かくいろんな指標が見れるところですかね。どれくらい潅水しているのかや、窒素の量、ECの値、液肥の交換タイミングなど、管理者が素人だったとしても目で見てわかる部分も多いですし、さらに読み込んでわかるデータもあるので、そういう見れるところが多いというのが他のと違うなと思います。

ー逆にゼロアグリを使っている中での課題はありますか?

思ったような潅水量で固定してくれないなと思うことはあります。動きが分からないというか、勝手に変えないでほしいなというか(笑)たまに僕の予想を遥かに超えた数値になったりすることもあるので、そうなるとどっちが正しいのかわからなくなることもあります。最終的には木を見て判断しています。

迷った時は木を見る

ー少しお金の話になりますが、実際ゼロアグリをいれて収益効果はあったのでしょうか?

北海道のキュウリだと平均的に1反あたりの売上が400万円いかないくらいなんですが、栽培方法とゼロアグリの活用により、500万円を超えるくらいになっています。

理由としては、適切な水分、栄養補給ができることにより、作物にストレスがなくなって、病気にかかりにくい状態が作れているんじゃないかと思っています。水分や栄養不足により木に栄養がなくなって、曲がり果や尻太のキュウリも増えるのですが、今年尻太のキュウリは1本も発生してないですね。その結果、安定して収量が増えています。

収穫したキュウリ

ー経営全体を考えたときのキュウリの収益性というのはいかがでしょうか?

レタスや白菜の方がまだまだ売上のメインではあるのですが、どうしても雨の影響や気候によってとれないということも出てきます。そういったときに、安定した収入をどこに持っていくかということで、キュウリのように環境制御できることが1つの強みになると思います。

いまキュウリは売上全体の14〜15パーセントを占めています。1反あたりの売上でいうとダントツ(レタスと比べても15〜16倍)ですし、高齢化で米の合間にキュウリを作っていた方々がやめてきているのもあって、ライバルも少ない中で収益性の高い事業となりつつあります。

キュウリをより収益性の高い事業に

ー北海道におけるスマート農業の可能性について、萩原さんのご意見を教えてください!

レタスや米や大豆、麦などの露地栽培においては、欧米式の最新機械を入れて自動化していたりするところも多いのですが、施設園芸という観点でいうと、スマート農業を活用した自動化みたいなところは本州に比べてまだまだ進んでいないところもあります。

冬に雪が積もるので、ハウスも単棟でしか作れないですし、設備は片付けないといけないので、大規模な設備はあまり作れないという課題があります。その点ゼロアグリは倉庫等に入れておけば良いので、安心です。

北海道でハウス栽培で本格的な収益を目指していくという観点では、離農する人も増えてきて、ライバルも減ってきている中なので、本気でやれば勝ち目があると思っています。スマート農業の活用もうまくやっていくことで、十分収益性は見込めのではないでしょうか。

ー今後の目標はありますか?

実は次年度、ハウスを4棟増やす予定です。それに合わせて、電動巻き上げ機や地上部の環境制御も導入する予定です。自動化をやりつつスケールアップをして、より安定した収入を得られるようにしていきたいです。

拡大予定のハウス

ーありがとうございました!

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