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補助金について

補助金は国や自治体が実施する補助事業により交付される金銭のことを指します一般に補助事業では、事業費に対し1/2や1/3といった補助率を乗じた額が交付されます。その場合には事業費全体を補助事業で賄うことはできません。補助残と言われる残額は、自己資金や借入により賄う必要があります。

施設園芸分野においても昭和期から様々な補助事業が農林水産省により組まれ、施設園芸団地の建設などの施設整備面や、新技術の開発や導入などの研究開発面を中心に、施設園芸の発展を下支えして来ました。近年は施設資材費の高騰により、補助金が無くては施設の新設も難しい状況にあると言われています。またスマート農業についての各種補助事業が国や地方自治体において多く取り組まれていることも近年の特徴と言えます。本記事では、補助事業の流れや国の補助事業の概要についてお伝えします。

補助事業の流れ

補助事業では、事業に応募する団体や事業者(補助事業の実施主体)を公募します。その際に補助事業の公募要領などで様々な条件が付与されるため、条件に合致した実施主体が補助事業に採択されることになります。事業の公募に対して応募する実施主体は申請書類等を期限内に提出し、審査により補助事業の採択(正確には補助金交付候補者など)が決定します。採択後にも事務手続きがあり、補助金交付が決定したのち請求により実施主体への支払いが行われます。また補助事業には実施期間があり、期限内に施設を建設したり設備を導入するなど行う必要があります。さらに事業の実施状況や実施効果などについて報告義務がある補助事業も多くあります。

補助事業と委託事業

 

補助事業では、応募する実施主体が施設の建設や設備の導入など様々な事業を行い、その内容は個々に異なります。補助事業の一方で委託事業という制度があり、こちらは国や自治体など委託側は委託先に対し委託内容を細かく指定し、委託先ではその通りに事業を実施するものです。また委託事業の公募は一般競争入札など入札により行われます。委託事業の内容には主に調査や広報などの業務があり、国においては農林水産省などが行う事業を外部に委託する形になります。

国の補助事業

国の補助事業は幅広くあり、農林水産省ではWEBサイト上で「補助事業参加者の公募1)を行っています。国の予算は単年度で策定され、令和〇年度〇〇事業といった形で公募が行われます。また補正予算や2次補正予算が策定された場合には、追加で補助事業が組まれ公募が行われることも多くあります。予算や事業の策定と公募には一定のサイクルがあり、また公募を行っても応募が予定に満たない場合などは2次公募や3次公募が行われることもあります。また補助事業の公募結果についても、WEBサイト上で公表されています。こうした情報は農林水産省のWEBサイトで常時確認が可能となっています。

農林水産省HPより「補助事業参加者の公募」

施設園芸に係る国の施策と補助事業

農林水産省では、資料「施設園芸をめぐる情勢2)を常時更新、WEBサイト上で公開しています。ここでは施設園芸に関する課題を、生産性、環境制御、経営構造、エネルギーコストの各面から取り上げ、それら課題への対応として、大規模施設園芸である次世代施設園芸拠点の整備やデータ駆動型農業の実践・展開支援事業などの施策を紹介しています。また次世代施設園芸の取組拡大も含めた予算措置として、強い農業づくり総合支援交付金と、産地生産基盤パワーアップ事業を紹介し、そこでの低コスト耐候性ハウスや環境制御装置等の導入支援をうたっています。

さらに施設園芸スマート農業のイメージとして①環境・生育データに基づく低コストで最適な環境制御、②各作業の自動化、③作業データ・収量予測等に基づいた生産管理を取り上げ、それらを実証するプロジェクト(補助事業)として、スマート農業実証プロジェクト(施設園芸)の実証地区の概要を年度別に紹介しています。

その他に個別課題への対応として、施設園芸等燃料価格高騰対策、花粉交配用蜜蜂の安定調達支援、園芸産地における事業継続強化対策といった補助事業について紹介しています。また令和3年に策定された「みどりの食料システム戦略」に対し、ゼロエミッション化に向けた支援策として、強い農業づくり総合支援交付金みどりの食料システム戦略の推進、産地生産基盤パワーアップ事業施設園芸エネルギー転換枠、SDGs対応型施設園芸確立といった施設園芸向け個別対応の事業を紹介しています。今後の農林水産省の政策の中心のひとつとなるみどりの食料システム戦略に対応した補助事業は、これからも様々な形で組まれて行くものと思われ、注視すべきでしょう。

以上の施設園芸関係の関連の補助事業への応募には、一般的には産地単位や生産者5戸以上などの要件があります。生産者個人では、例えば燃料高騰対策であれば地域の協議会(都道府県が事務局を行う)を通じての参加が考えられ、また一戸の事業者でも応募可能な事業もあります。そうした事業応募要件の詳細については、補助事業の公募要領などから詳しい情報を入手する必要があります

次のブログでは施設園芸とスマート農業に係わる農林水産省の代表的な補助事業の内容や成果についてご紹介します。

参考文献

1)補助事業参加者の公募、農林水産省

2)施設園芸をめぐる情勢、農林水産省

 

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