設置場所 所在地 群馬県前橋市江木町
栽培作物 きゅうり
施設面積 2016㎡(間口:8m×6連棟、奥行42m)、予備室:144㎡
被覆材 エフクリーン80μGR80 (予備室:エフクリーン100μソフトシャイン)
設備
・複合環境制御装置(アグリネット+環境制御盤MC-6001)
・細霧装置(冷房/加湿システムCoolPescon、最大噴霧量1208L/hr)
・二酸化炭素発生機(グロウェアCG-554T2)2機
・暖房設備(ハウスカオンキHK-4027TCV)2機
・深層地中暖房装置(ボイラーHB-807TGA)2機および地中配管
・養液土耕システム(ZeRo.agri-2500)

環境制御システムを駆使し、収量40tを目指す、群馬県のキュウリのモデル圃場へ

JA全農ぐんまの園芸作物生産実証圃場(キュウリハウス)では、複合環境制御装置等を活用し、群馬県内のキュウリの生産振興や担い手の育成に取り組まれています。なんと視察に来られる人数は年間で1000人以上とか。そんな中で、実証圃場が稼働してから3年目にあたる2019年より、ゼロアグリも導入し活用いただいております。

園芸作物生産実証農場長の山上様とキュウリ栽培責任者の赤石様に、お話を伺いました!

園芸作物生産実証農場長の山上様(右)と調査役の赤石様(左)​

  

こちらのキュウリの生産実証圃場の目的について教えてください。

群馬県はキュウリの生産量が全国上位で昔から大きな産地なのですが、最近は生産者の高齢化や栽培面積の減少が進むなど、課題も多くあります。そこで、環境制御技術を活用しながら、面積拡大しなくても収量増が期待できる栽培技術の実証として、2017年から取組みを始めました。群馬県の農業技術センターの方でも炭酸ガスを活用した試験等もやっていますが、こちらの農場では、生産者の方がすぐに取組み始められるようなロールモデルとして、いつでも視察・研修ができるようになっています。

園芸作物生産実証農場(20aのキュウリハウス)

具体的にはどういうことにこれまで取り組まれているのですか?
光合成と転流・分配を意識したハウス内環境の制御として以下の4つです。
①最大光量の確保(透過性の高いフィルム温室、全面白黒マルチ被覆)
②炭酸ガス施用(日中のゼロ濃度差施用)
③適湿管理(ドライミスト、LSスクリーン)
④欧州型の温度管理(早朝加温、午後最高温度、夕方一気に下げる)
これで栽培初年度は、年間で反収39tを達成しました。

設置されたゼロアグリ

 

 

ゼロアグリを導入した理由は何だったのでしょうか?

ゼロアグリを導入する前は、タイマー式の潅水装置を使っていました。ただそれだと水の供給量が正確に分からないという課題がありました。キュウリの生育において水はとても重要ですから、その精緻な管理をすることで更に効果があるのでは、ということと、省力化にも繋がるなら良いなと思いました。

 

実際にゼロアグリで栽培をしてみて、どうですか?

水が大事だというのを今作で改めて実感しましたね。前作に比べて水の供給量を増やしたのですが、樹の強さや枝の伸びが全然違います。導入して良かったことは、正確な水の供給量が分かるようになったこと、離れた場所でも状況がわかること、毎日天候状況を見ながら圃場に行って潅水調整しなくてよくなったこと、棟ごとの水分管理がしやすくなったことですね。

あとは副次的な効果だと思いますが、昨年はセンチュウ被害が大きかったのですが、今年は潅水を棟別にきちんとできたお陰で土壌環境が変化したのか、根コブはできていましたが収量が減少するほどの被害を受けませんでした。根っこが元気になったということだと思います。

収量や品質などは向上しましたか?

まだ促成栽培期間しか終わっていませんが、出荷時期2~7月で、昨年は反収26tほどだったのですが、今年は反収28.5tとなっています。抑制で去年は9tほどとったので、今年はどれくらいとれるか楽しみですね。

 

省力化にはつながっていますか?

これまでは、自分が休みの日でも、毎朝6時に起きて、現場に「今日は天気が○○なので、潅水量は○○%にしてください」等の指示をするのが日課でした。それがいまではゼロアグリにほぼ任せることができますし、家からでもどれくらいの潅水量になっているのか見られるので安心できます。だいぶ日々の管理作業も楽になりましたね。

管理作業を行う赤石様

現在の潅水施肥はどのようにやっているのでしょうか?

うちの場合少しイレギュラーで、肥料に関しては液肥ではなく、従来通り元肥と追肥でやっています。キュウリの養液土耕に関するノウハウが少ないので不安があるというのが本音です。あとは、いま入れているゼロアグリの流量上、液肥を流すと水の供給量が減るので、潅水量が足りなくなることも懸念されます。潅水に関しては、キュウリの生育状況や栽培ステージ、季節によって都度調整しています。

使い始めて苦労したことはなんでしょうか?

AIと聞くとなんでもやってくれるイメージがあって、最初は潅水に関してはゼロアグリに全部任せておけば勝手に調整してくれるという感覚だったんですよね。でもゼロアグリはあくまでも日射や土壌水分など植物学的な理論を元に自動潅水をしているだけなので、目の前のキュウリがどれくらい水を欲しているかという点については、栽培担当者が最終的に判断しなければいけない。

そこは最初ギャップがありました。最初の2か月は正直全く生育が良くなくて苦労しましたが、ルートレックさんとコミュニケーションとりながら何とか持ち直して、いまがあるという感じです。いまは、樹の状態や土の湿り具合を見ながら、都度調整をしています。

 

いまの栽培の課題があれば、教えてください。

収量は増加しているのですが、A品率が現状30パーセントくらいであまりよくありません。そこで次期の促成栽培は、つるおろし栽培に転換したいと思っています。1本のつるを横にずらして栽培していくので、作業が簡単なのとA品率がよくなるというメリットがあります。キュウリは規格が結構厳しくて、曲がりがないことであるとか、長さ、重さ、かたちなど・・・やはりスーパーなどでは見た目が良い方が消費者に買ってもらいやすいですからね。

今後取り組みたいことや目標はありますか?

前述のように、来年からはつるおろし栽培にするので、収量的には少し下がると思っています。ですので、今年度はぜひ反収40tを達成したいです!!

また、キュウリ栽培を新しく取り組もうと思うと、初期の設備投資もかなり必要ですし、収穫・調製作業も大変なので、なかなか新規就農者にはハードルが高いと思うんですよね。一方で単収が高く魅力的な作物ではあると思います。既存の農家やキュウリ栽培を新しく始めたい人にとって、後押しになるような実証農場でありたいと思っています。

 

ゼロアグリを使いたい生産者の方がいらっしゃれば、メッセージをお願いします!

ゼロアグリは、栽培に真剣な人ほど、使ってみて面白いと思います。これまで苦労して調整していたことが、ボタン1つで簡単にできますし、それによって作物がどう変わっていくか観察するのも面白いです。また、炭酸ガスを使うとその分水の要求量も増えますから、組み合わせて使うのが効果的かと思います。

 

キュウリ栽培は根性勝負なところもあって、手間をかけてやれば結果は出るけど、人手が限られた中でどれだけやるのか?という迷いもあると思うんですよね。ゼロアグリはそういう「手間」を一部負担してくれるようなシステムだと思っています。昨年管内のJA前橋市はキュウリの選果場を設置しました。それで一部手が空いてきている生産者さんもいらっしゃると思うので、そういう方々が収量向上に向けてぜひ使っていただけたらと思います。

 

 

ありがとうございました!

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