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よしよし畑様(兵庫県加西市・中玉トマト)|品質も収量も犠牲にしない、新しい都市近郊農業のモデルを先端技術で作る!新規就農者も必読の農業経営ノウハウ

所 在 地:兵庫県加西市

ゼロアグリ導入作物:中玉トマト、大玉トマト

ゼロアグリ導入規模:   12 a

経営体:法人(従業員12名)

ー自己紹介をお願いします!

元々は商社や農薬メーカーで働いていたのですが、都市近郊農業に可能性を感じて起業しようと決意し、5年前(2018年)に兵庫県加西市に移り住んで、農業を始めました。

 

加西市は、姫路や加古川などの消費地まで車で30分なので、都市近郊農業ができるという点で魅力的な場所です。都市近郊農業で消費者に近い場所で販売をしていくとなると、やはり「美味しさ」が重要になってきますが、そうしたときに、最近主流の水耕栽培ではなく、土耕栽培の方が美味しいものができると思い、土で栽培をすることにしました。土耕栽培だとしても、ハウスや環境制御システムは最新のものにしていて、ハイブリッド型の栽培にしています。

 

一般的なトマトの栽培って美味しさと収量が反比例すると考えることが多いと思います。でも、売上高は単価(品質)と出荷量の掛け算なので、美味しい野菜をたくさん収穫しないと経営が良くなりません。それで、質と量を両立させるために、思いっきり健康な植物を育てたら、そこからは美味しい実がたくさん採れるはずと考えました。そのために何をするのか、ということに主眼を置いて栽培をしています。

軒高のハウス

ー「よしよし畑」のこだわりについてもう少し教えてください!

「よしよし畑」という名前は、美味しい野菜で食べてくれる人を幸せにすることにフォーカスしたいと思っていて、食べてくれる人も、育つ野菜にとっても、「よしよし」という想いを込めてつけています。

 

農家が減少し続けているという現状をみると、どれだけ一生懸命に働いて美味しい農産物を作っても、それだけでは経営はうまくいかないということなのだと思っています。そこでよしよし畑では「先端技術の活用」「デザイン」「組織化」「パートナーシップ」の4つにフォーカスをして周囲から愛されて生産性も高い農業を実現させようとしています。

奥様がデザインされているシールやチラシ

ー販路はどういうところに売られてるんですか?

今はスーパーさんがメインで、それ以外にふるさと納税やECでの直販もやっています。

 

販売しているミニトマト

ーゼロアグリをいれた経緯を教えてください。

 

当初はタイマーで潅水をしていました。液肥の混入も毎回500Lタンクに肥料を溶かしてポンプで吸わせるという完全な手作業でやっていたんですが、やはりなかなか作業が追いつかない。事業の立上げ期で一つ一つの作業に時間がかかる上に、自分たちのブランドを営業もしていかないといけないので、とにかく忙しいんですよね。

 

元々、就農する前に、幕張メッセで開催された展示会に参加していてゼロアグリのことは知っていたんですけど、就農するときに、「200万かけて導入するのは勿体無いから良いや」と最初はいれなかったんですね。でも実際栽培を始めて、やはり難しいことをやろうとしているので、わからないことも多くて。何か栽培でミスをする度に売上が単月で200万円以上減少している事もあることに気づいたんですね。

 

それでやっぱりゼロアグリのような自動化する仕組みが必要だと思い、導入をすることにしました。

 

ゼロアグリの設置の様子

ー就農して、栽培の1番大きな失敗というのはなんだったんですか?

 

肥料の失敗がとにかく多かったです。タイミングよく肥料をあげられないとか、くもりの日に水が多くて味が落ちる、とか。

 

あとはやっぱり事業の立上げ期は何でも全部手がかかるじゃないですか。栽培、営業、経理財務、購買や設備投資、人材の確保や人付き合いなど、目の前にやることがたくさんあって、手探りで調べて決断する連続に心の体力が奪われていくんですね。肥料やるのもたった15分なんだけど、その15分がどうしても手が動かないみたいなことがあるんですよね。それでトマトの木が弱ってしまって大打撃をくらうみたいなこともありました。それで月の売上が200万くらいは簡単に無くなってしまう世界なので、それを考えると、ゼロアグリの200万は安いですね。

 

ーゼロアグリの導入メリットはどういうところに感じましたか?

 

ゼロアグリを入れたら、PDCAサイクルのD(実行)に効いてくれると思っています。結局色々勉強して、肥培管理の計画は立つんですけど、それを実行する部分が不安定になると、結果が悪い時に、プランが間違っていたのか、実行できなかったせいなのかわからなくなるじゃないですか。ゼロアグリをいれると、実行の部分が安定をするので、その分プランの振り返りがきちんとできるんですよね。そこがゼロアグリの魅力の1つだと思います。

 

また、ログが残るのも良いところですね。再現性という観点で、今年うまくいったことをもう1回やれる、であったり、規模拡大したときに0からではなく蓄積がある状態で臨めるというのは大きいと思います。

栽培ログはスマホで簡単にチェックできる

ー実際いれてみて、どうでしたか?

 

圧倒的に心の余裕ができました。

あと想定していなかったメリットとして、トラブルにすぐ気づける、というのもあります。例えば潅水チューブが外れていてハウスに入って気づくこととかあると思うんですけど、ゼロアグリだと出している水の量と秒数のバランスが崩れるので、数値でもすぐエラーに気づけるというのもあります。(LINEのアラート機能もつかっています)

 

ー他にゼロアグリを使っていて良いなと思うことがあれば、教えてください。

 

周囲に助言を求める時に、具体的な改善策を教えてもらいやすくなります。トマトの収穫に問題発生ってなったときは、2ヶ月前には何か異常が起こっているんですよね。改善策をアドバイスしてもらうときに、過去の土の中の水分やECの値を見せて正確に状況を伝えられると精度が全然違います。

 

 

地上部の温度管理なんかは、平均温度などの数値で管理しているとわかりやすいんですよね。例えばトマトが赤くならないって言ったら、温度管理どれくらいなってる?って会話で、「15度くらい」と言ったら「17度まであげなきゃだめだよ」といった精密なコミュニケーションができます。土はとてもアバウトなところがあるのですが、センサーの値を使って、見える化できる意味は大きいと思います。

 

そういう意味で、土中の肥料濃度を数値で見られるECはすごく役に立ちますね。以前には木が弱いと感じて肥料を増やしていたら、いつの間にかECがすごく高くなってびっくりみたいなこともありました。私の心の中の動きだと強くするにはもっと肥料やらないと、という気持ちになることが多いのですが、根が弱って吸えなくなっている事も多々あります。やっぱり経験が少ないと植物の声を上手に聞き取れないんですよね。ゼロアグリで土の中にセンサーを挿して、ECが上がってるのか横ばいなのか下がっているのかみていると、今足りているのかというのが分かって、そういう風に見えないものが見えるようになる、というのは大きいと思います。センサーの値と植物の状態をセットで観察することで、再現性のある経験を蓄積できると感じます。

ハウス内のトマトの様子

ーゼロアグリでの潅水管理について教えてください。

 

今センサーは3本入っていて、潅水の系統ごとに分けています。

通常フルーツトマトだとできる限り水を切っていく考え方になると思うんですけど、うちは収量を犠牲にしない考え方で、必要な水をきっちりあげる潅水管理をやっています。

 

その代わり食味を良くするために、手動で電磁弁を開けて、週2回ほど有機液肥を流しています。手動で水をあげる分、潅水量の自動調整がききにくいので、潅水施肥量の振り返りはグラフでチェックするようにしています。特に「過去24時間の平均水位」が見れるんですが、自分の水やりの答え合わせをする意味でも、よくチェックしていますね。

 

ゼロアグリのグラフや数字の見方みたいなのは、それなりにトレーニングしていかないと、入れただけではよくわからないというのはあるような気がしますが、慣れてくるときちんと使えるようになると思います。

 

ー肥料については、どのように管理されていますか?

化成肥料は、リン酸やカリ、微量要素を中心に使っています。窒素は有機肥料中心に必要に応じて硝酸態窒素を補っています。つまり、ゼロアグリの自動施肥では、リン酸カリが中心の化成肥料を流して、窒素は手動で、有機液肥を週2回程度流しています。トマトのコクを担保するために、やっぱりアミノ酸は必須だと思っています。

液肥タンクと混入器の様子

ー先ほど、「先端技術の活用」という話がありましたが、ゼロアグリ以外の先端技術はどのようなものが入っていますか?

 

ハウスは面積は12aで広い訳ではないのですが、オランダ式の軒高のハウスを採用しています。

また地上部(空気関係)のところも見るために、温度、湿度、CO2、日射をモニタリングしていて、天窓と暖房と二酸化炭素を自動制御しています。いまは「e-minori」というシステムを使っています。これもとても使いやすくておすすめです。

 

冒頭でよしよし畑の4つのこだわりをお話しましたが、「先端技術の活用」という観点において、中途半端ではよくないと思っていて、やるなら徹底的にやらないといけないと思っています。新規就農を成功させるために、圧倒的に足りない技術力を補う設備投資で勝負することは重要だと思います。

 

ーオランダ式を採用しつつ、土で栽培されているのが面白いですね!

 

そうですね。日本って、とても良い土があるのに、それを使わず人工培地で栽培するのは勿体ないと思うんですよね。大学のときに、1年オランダのトマト温室で働いていたことがあるんです。オランダって、低湿地で土がじゅくじゅくしていてどうしようもない中でロックウールで栽培している事情があります。さらに、日本は田んぼや森や海から有機肥料の良質な原料が豊富に手に入ります。その自然の恵みとも言える有機肥料を捨ててしまうのは僕の中では違和感があります。。実際、土で上手に育てたトマトと水耕栽培で育てたトマトを食べ比べると、圧倒的に土で育てたトマトの方が美味しいなと感じます。

栽培されているトマト

ーなるほど、勉強になります。これからの課題があれば教えてください。

 

今育てているのは、「華小町」という中玉トマトの品種で、とても味は美味しいんですけど、葉かび病の耐病性がついてないなど繊細さのある品種です。その中でやはり栽培技術については、トライアンドエラーを繰り返していくしかないと思っています。

 

特に収量については、8カ月余りの収穫期間中ずっと良い状態に維持することが課題です。

病気などのトラブルで現状では反あたりの売上は1,000万円を少し超える程度ですが、収量と品質を最大限まで伸ばすことができれば、2,500万円まで伸ばせると見ています。あとは、そこに生産性という要素も考えないといけないと思っていて、やはり最小限の時間で最大限の売上を作るにはどうしたら良いか、という視点もこれからの農業の未来には必要だと思っています。

 

TV取材の色紙もありました

ーゼロアグリへのメッセージがあれば、お願いします!

 

面積が広い方はもちろん、面積あたりの売上が大きい人も、ゼロアグリのような先端技術が役に立つ可能性は高いと思います。例えば1割収穫量が増える時の、売上高に与えるインパクトが大きいので。産地に先端技術っていきがちですけど、収益性の高い都市近郊農業での活用もすごく可能性があるのかな、と思っています。

 

ーありがとうございました!

 

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