福島県伊達市でキュウリを育てている末永さん。お父様お母様も含めた3名で、28aの面積を栽培管理をされています。4月〜12月頭の栽培期間で、4回に分けて定植が行われ、多忙なスケジュールの中、ゼロアグリをいれて労力削減および品質向上、収量向上の効果を実感されています。そんな末永さんに導入したきっかけから、実際の効果まで詳しくお聞きしました。
所在地:福島県伊達市
栽培作物:キュウリ
規模:28a
経営体:家族経営(3名)
―暑い中ありがとうございます!(インタビューは、8月上旬。そのときの気温は36度。)
いえ、伊達地域は盆地になっていて、特に昼間は湿度も高く気温も高いのが特徴です。
―末永さんのところはどのような作型でキュウリを栽培されているのですか?
年に4回定植をしています。
①ハウス:4月に定植し7月までとる
②ハウス:5月に定植し9月、10月までとる
③露地:6月頭に定植し9月までとる
④ハウス:7月初旬に定植し12月上旬までとる
キュウリを栽培しない冬場にはあんぽ柿をやっています。
―ゼロアグリをいれたきっかけを教えてください。
ゼロアグリは2018年4月から導入をしました。きっかけとしては、夏場の作業がほとんど水やりに追われることになってしまい、キュウリの手入れなどに時間が割けていないことに課題を感じていました。当時地域でゼロアグリの勉強会があって、それに参加したところがきっかけです。
―ゼロアグリをいれるにあたって、お父様から反対などはなかったのですか?
最初は、本当に大丈夫か?と言われましたが、今はゼロアグリを使ってきちんとキュウリが育っているので、納得してもらっていると思います。
―ゼロアグリを導入してみてどうでしたか?
初めて導入した年とその前の年を比べると、作業時間は40%削減し、収量は8%増えました。今年導入して4作目ですが、年々収量は上がっています。
また、ゼロアグリいれる前の年は、朝収穫をして、 水やりをして、また午後水やりして、というので1日に3、4時間は水やりに時間を費やしていました。それがゼロアグリをいれて、ほぼ自動化をすることができました。空いた時間を使って、葉落とし、摘果などのキュウリの手入れにも時間を割けるようになりました。結果、A品率も上がっています。
―導入した当初はご苦労もあったのではないでしょうか?
最初の1ヶ月はとても不安でした。本当に機械任せにしても良いのか、というので信用できなかったですね。でも使っていくうちにちゃんとした機械なんだということがわかりました。
あとは、2ヶ月に1回くらい、ルートレックの担当の人がちゃんと様子を見に来てくれて、もし課題があればどうしたら良いか教えてくれたので、安心感がありました。
―その他よかったことはありますか?
ゼロアグリを使っていることにより、地域以外の他の生産者さんや農業以外の業界の人など、横のつながりができたことですね。
この間も、秋田のキュウリ農家さんのところに遊びに行ったりして、違うやり方でやっているところなど、勉強になっています。
ゼロアグリは、1台で多様な土地に対応できるのがすごいところだと思います。うちは、土が粘土質で全然水が抜けないのですが、それに合わせてちゃんと水をやってくれるので、幅の広さを感じています。
その土地に合わせた使い方というのがあると思うので、他を参考にしつつ、自分の場所でベストな方法を確立していきたいと思います。
―特に活用している機能はありますか?
猛暑日対策機能と、急速潅水(ロケット)機能です。猛暑日対策機能は、暑い日の日中は液肥を薄くして、夕方には足りていない肥料分の濃度を戻して供給する機能で、キュウリがきちんと水を吸えるようになります。急速潅水機能は、ゼロアグリの潅水方法は少量多潅水が主流ですが、暑いとどうしても水が足りなくなることがあります。そういうときに活用していて、とても重宝しています。
―その他、猛暑の中工夫されていることはありますか?
通路潅水は、暑くなる時間帯の前に、毎朝必ずやっています。あとは、扇風機やミスト等も効果的かと思いますが、今は導入していません。
ここ4、5年は毎年夏は暑くて、少しずつ気候が変わってきていることは肌身で感じています。そういう意味でいうと、このまま暑くなっていったら作れなくなるんじゃないか、という危機感は多少あります。
他の作物をやるという選択肢もありますが、新しくやるのはとてもハードルが高いですし、現状はゼロアグリなどテクノロジーへの設備投資と、収益の感覚があっていると感じます。
今後もテクノロジーは発展していくと思いますし、うまくテクノロジーを活用しながらこの猛暑をしのいでいきたいと考えています。
―末永さん自身の今後の目標を教えてください。
伊達市はキュウリ栽培がとても盛んで、伊達で作ったキュウリは美味しいと評判です。うちの圃場で作ったキュウリでいうと、「皮が薄くて歯応えがあって、しゃきしゃきした食感」という特徴があります。自分のところで作ったキュウリも含め、もっと伊達のキュウリを発信していくようなことを今後やっていけたらと思っています。