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連作障害/土壌病害とは?原因と対策をご紹介

土壌病害

毎年、同一作物を同じ施設、同じ圃場で土耕栽培により連作した場合、病害の発生などが原因となり、生育と収量への影響が起こりやすくなります。これらは連作障害と呼ばれ、特に連作がされやすい施設栽培では常に問題となっています。トマト、キュウリ、ナスなど果菜類や切り花の施設栽培で特に起こりやすく、養液土耕栽培を行う際には様々な対策が必要になります。以下に連作障害の主な要因について対策を含めご紹介します。

病原菌やセンチュウ類の増加による土壌病害

連作により作物の生育に有害な病原菌(フザリウム等)が繁殖、菌密度の増加によって立ち枯れなどが起こりやすくなります。またネコブセンチュウなどのセンチュウ類が植物に寄生、繁殖し密度が増加、作物に被害をもたらします。

これら土壌病害は、他の作物と組み合わせる輪作(トマト+キュウリの年2作型など)や、対抗植物の栽培(センチュウに対するマリーゴールド栽培など)によって緩和されることもありますが、それらの実施は難しい場合が多いと考えられます。現実的な対策として、化学的防除(農薬による土壌消毒など)、物理的防除(太陽熱消毒など)、耕種的防除(残渣等の撤去、耐病性品種や接ぎ木の導入など)が取られ、実際にはそれらの組み合わせで行われています。最近では低濃度アルコール施用と太陽熱消毒を組み合わせ環境保全にも配慮した防除方法なども普及しています。

エタノール

土壌の養分バランスや物理性の乱れ

連作により特定養分の吸収が進み、いわゆる肥料の喰い残しにより土壌中の養分バランスが崩れ生育に影響を及ぼすことがあります。またMnやFe等の微量要素の欠乏による生育障害が起こることもあります。これらに対しては、土壌分析によって圃場の状態に適した施肥設計を行い、肥料配合の調整によるバランス補正や特定肥料分の補給が対策として考えられます。施設栽培では降雨による肥料分の流亡がないため肥料分の蓄積が進みやすく、また多肥栽培になる場合にはさらにそのリスクが高まり注意が必要です。

土壌

また連作により、土壌が固くなり排水性などの物理性が低下することも良くみられます。団粒構造といって、ふわふわで空気も含んだ土壌の状態も保てなくなります。これらに対しては、圃場の耕転、暗渠等による排水性確保、堆肥や土壌改良資材の投入などが取られます。

必要最小限の施肥で、連作障害を防ぐ。

連作障害の克服は、施設での果菜類や切り花の土耕栽培おける重要な課題ですが、施肥量や肥料バランスを考慮することで環境保全にも寄与するものです。養液栽培と異なり、養液土耕栽培では排液を回収することが出来ないため、過剰施肥は環境への悪影響が懸念されます。少量多潅水を組み合わせ、適切な施肥設計にもとづき作物の生育を高め、かつ排液による環境負荷を低減する技術が今後の持続的な施設園芸には求められるでしょう。

ゼロアグリ

ゼロアグリではAI潅水制御により少量多潅水をベースに潅水量と施肥量(EC値)を独立してコントロール可能ですので、環境負荷の低減にも寄与すると考えられます。 

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