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楠原様(宮崎県田野町・キュウリ)|「父に負けない管理を」AIで収量11%増、就農5年目の新たな挑戦と野望

所 在 地:宮崎県田野町

ゼロアグリ導入作物:キュウリ(輝世紀、S-36)

ゼロアグリ導入規模:  30a

経営体:家族経営(3人)

ー自己紹介をお願いします!

25歳のときに就農して5年になります。田野は大根が有名で、うちも元々大根と煙草をやっていたんですけど、父の代からハウスを立てて、10年前からキュウリ栽培を始めました。

大根や煙草だと人海戦術で人手が必要なんですが、キュウリだと比較的少人数でも栽培ができるので。

今年子供も生まれて、ハウスの作業と育児との両立が今とても大変なのですが、なんとか頑張っています。

ハウスの前の大根畑

ーキュウリの作型を教えてください。

 

9月末と10月頭に2回に分けて定植していて、6月後半から7月頭まで栽培をします。

12月1月あたりのキュウリが高い時期が、繁忙期でちょうど忙しくなる時期ですね。

 

 

ーゼロアグリを入れる前の潅水施肥はどのようにやられていたんですか?

 

タイマー式の潅水で、樹の状態などを見ながら毎日潅水量を決めていました。基本的には父がやっていたのですが、勘と経験に頼る部分が多かったですね。

当時から点滴チューブは活用していました。液肥も混入器を使って水と一緒に供給していましたね。

 

ハウス内のキュウリ①

ーゼロアグリを入れたきっかけは何ですか?

営農センターから紹介を受けて、父と一緒に見に行きました。

それまで潅水施肥に関しては、父におんぶに抱っこ状態だったので、少しでも自分でできることを増やしたいなという思いがあったのですが、これなら自分でもできそうという感覚を持つことができました。

設置されたゼロアグリ

ーゼロアグリ導入にあたって、お父様の反対はなかったのですか?

「やりたいようにやれよ」というスタンスで、特に反対はなかったです。自分の中では正直父に負けたくないという思いもありましたね。

ー導入にあたって、何か補助金は活用されたんですか?

県の補助金を活用しまして、50%ほどの補助が出ました。

それで、ちょうど昨シーズン(2022年の10月)から導入しました。

ー実際ゼロアグリを入れてみてどうでしたか

1年目は、AIに全部任せっきりにしてしまった部分もあって、年が明けて日が上るのが早くなってきても目標水分量を当初のままにしてしまっていたんですよね。それで水が全然足りなくなってしまって樹が枯れかけるという大きいミスがあったのですが、サポートの方にも電話をして、なんとか持ち直すことができました。

そのことがあって、自分がAIに使われるのではなく、AIを使いこなすというイメージで考えなくてはいけなかったと反省して、自分で工夫して色んなことに取り組むようになりました。最終的には収量も前年比で11%増で、田野管内でもトップ2くらいに入るくらいの収量を修めることができました。

ハウスの中のキュウリ②

ー品質面ではどうでしょうか?

 

秀品率も3,4%上がりました。ただ、人手が少ないこともあり、規定サイズを超えるとすぐにB品になってしまうので、本来もっと回転率を高くして品質をあげられる部分もあるかと思っています。

 

ー人手の確保は課題なんですね。

 

高齢化で、従来働いていたおじいちゃんおばあちゃんが、来られなくなってきているというのはあります。若い方も採用できなくはないのですが、きちんと働いてくれるかという観点で、結局採用を渋ってしまうこともありますね。

 

ゼロアグリを入れて、潅水施肥にかかる時間が少なくなり、人件費が半分以下になりました。ただし人手が減ったこともあり労働時間は現状あまり変わっていません。スマホで簡単に潅水施肥を調整できるので、キュウリを見る時間は増えましたね。

 

僕自身は、誤解を恐れずに言うと「ラクして農業したい」という思いがあって、会社員をやっていたときも人手の少ない部署に配属されて、土日に休日出勤して、みたいなのが当たり前だったので、本来的には人を雇って持続可能な仕組みを作っていきたいと思っています。

 

これから大きくなる実

ーゼロアグリの管理画面はどれくらいの頻度で見てますか?

 

スマホが手から離れないくらい高頻度で見ています。特に、EC値(土壌内の窒素の濃度が間接的にわかる数値)がリアルタイムでわかるのが1番良いですね。ECが上がっていると、作物が水分を吸っているんだという判断もしやすいです。その都度ゼロアグリもアップデートが入って、管理画面もわかりやすくなっています。

 

ー施肥面で、ゼロアグリをいれて変化はありましたか?

肥料の使用量が13%ほど減りました。

この田野地域だと、元々は田んぼの土壌ということもあって、「水も肥料もがんがんやろうぜ」という管理がスタンダードとされています。それがゼロアグリになって、必要なだけ水をあげるという管理になったので、それに混ぜている液肥の量も間接的に減りました。

その結果、液肥を作る作業も減ったので、ラクになりました。

液肥タンク

ー気持ちの面での変化はありますでしょうか?

 

今ゼロアグリをいれて2作目で、病気の対策や管理面も含めてまだまだ悩む部分も多いですけど、会社員時代に比べたら、自分で考えて自分でやれる環境が楽しく、僕にとっては天職だと思っています。

父のやり方とたまにぶつかる部分もありますが、僕は僕自身のやり方で、AIを活用しながら成長していきたいと思っています。

 

ー今後の展望を教えてください。

 

ゆくゆくは面積を拡大して、自分が主体としてやっていって、人を雇っていきたいです。ゼロアグリのような機械に任せられるところは任せて、考えなくても勝手にキュウリが成って、ひたすら収穫していけば良いみたいな状態ができたら最高ですね。そのために、環境制御や最新の技術も活用していけたらと思っています。

 

宮崎県はキュウリの生産が1位なのですが、その中でも田野はキュウリ栽培している方が多く増えてもいて、勉強会もいくつか開催しています。大きい面積でやっている人も多いので、目指すところはそこかなと思っています。

出荷されるキュウリ

ーありがとうございました!

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