ブログ導入事例

壱岐の島 このみ農園様(長崎県壱岐市・アスパラガス)|感覚値でやっていたアスパラ栽培をより根拠あるものに、未来の生産者に技術をつないでいくスマート農業を実現

所 在 地:長崎県壱岐市

栽培作物:アスパラガス

規    模:50a(ハウス24棟)

経 営 体:家族3名+パートさん3〜4名

ーゼロアグリはいま使い始めてどれくらいですか?

ちょうど1年くらいです。ゼロアグリはハウス24棟のうち、8棟分のエリアで使っています。

ーいれる前の課題感は何だったのでしょうか?

栽培面積が5反あり島内では広い方なんですが、潅水作業が大変で効率化したいという思いがありました。いまゼロアグリをいれているエリアの潅水だけでも手作業で30分くらいかけて潅水をしていました。

たったの30分と考えればそうかもしれませんが、30分でも貴重な時間で、潅水に時間をかけていると他の作業にどうしても手が回らなくなってしまうこともありました。

ーゼロアグリはどのように使っていますか?

現状は潅水のみでゼロアグリを活用しています。ゼロアグリはこれまで点滴チューブでの潅水がメインだったと思いますが、うちの農園で初めて散水チューブを使った自動潅水に取り組みました。今後アスパラでゼロアグリを展開していくとなったときに、現状散水チューブで潅水している生産者がほとんどなので、既存の設備を活用して導入できないと、コストが大きくかかってしまいます。それで、導入にあたって散水でも対応できるようにしてもらいました。

また、現状はマニュアルで1日2回潅水を実施していますが、今年の6月からオート潅水を活用していこうとしています。これは、今後新規就農で新しくアスパラをやりたい、という方がいたときに展開しやすくなるかなと思っていて、例えば目標土壌水分量をどれくらいにしたら良いか、みたいな話を感覚値ではなく根拠ある数値を元に調整ができると思っています。

農業全体がどうしても感覚のようなところがあって、「この葉っぱの色がおかしい」だったり何となくの指標はあっても、明確ではない。見て覚えろ的な部分が多くて、それじゃ新規就農の人もうまく栽培できるわけがないと思っています。自分が元々システム系にいたので、0か1じゃないと嫌なんですよ(笑)

散水チューブが敷設された圃場
既存の潅水設備に取り付けたゼロアグリ

ー施肥に関してはいかがでしょうか?

いま実はゼロアグリは潅水だけをしていて、肥料に関しては元肥と、20日に1回液肥で追肥をしています。

今後施肥も、ゼロアグリを使って自動化するということをやろうとしていて、それにより少量で高頻度な施肥ができるので、効率的に作物が吸収をしやすくなるんじゃないかなと期待をしています。また施肥作業の手間がなくなるので、さらに省力化につながりますし、これは他のアスパラ生産者の方にとっても大きなメリットになると思います。

ーゼロアグリをいれて、どういったメリットを感じていますか?

現時点でいうとやはり省力化というところと、センサー情報を元にした潅水の調整ができることの2点だと思います。

省力化という観点で言うと、単純な時間の削減だけではなくて、どこからでもスマホやPCで潅水調整できるというのが大きなメリットだと思います。僕自身、東京出張とかもあるんですが、こないだ飛行機の中から潅水調整できるのかな、とふと思って、飛行機のWi-Fiを使って富士山を見下ろしながら潅水調整をしてみました(笑)あとは、潅水量が少なくなった時など、何かあった時にはLINEでお知らせが来るのも良いですね。LINEで通知が来て、流量計確認したら本当に流量が減っていて、フィルター詰まってるな、といったことにすぐ気づくことができます。

ー「センサー情報を元にした潅水量の調整」についてもう少し詳しく教えてください。

アスパラはイチゴと違ってそこまで精緻な環境制御を必要としないというところがあります。水も多めにとりあえずやっとけ、といったような要素もあり、比較的ラフな育て方ができる作物だと思います。

でも正直、いままで感覚で潅水をやっていた部分もあったので、自分の感覚が正しいのか、というのは測る指標がありませんでした。ゼロアグリをいれて土壌センサーで数値が見れるようになったことで、自分の思っている感覚とセンサーの感覚とを合わせながら、何%だったらこっちの方が良い、といったような感じでより確かな潅水調整ができるようになったと思います。

日々の手入れ、管理も重要

ーそのほか導入されている潅水システムについて、教えてください。

ゼロアグリを入れているところ以外のハウスでは、別メーカーさんの養液土耕用のタイマー式潅水システムをいれています。僕にとっては、断然ゼロアグリが良いと思っていますが、栽培面積ややりたいことによって合う合わないがあると思います。

タイマー式の潅水システムは確かに簡単ですしランニングも安かったりするんですが、常に圃場に敷設されているホースの中に圧力をかけてる状態なんですよね。その圧力が下がるとポンプが動き出す様な仕組みになっているんですが、一度破裂しようものなら作物にとってもかなりダメージが大きいと思います。ゼロアグリはスイッチ式の仕組みなので、そういった栽培環境にも優しい設備だと思っています。

ーアスパラガスはどういったところに販売をされているんですか?

東京や大阪、福岡などの飲食店に直接販売をしています。

僕自身は元々福岡で車のディーラーで働いていたのですが、壱岐に戻るタイミングで、普通に農業しても面白くないなと思い、ヤフオクでアスパラを売り始めたんです。ちょうど10年くらい前なのですが、当時いまのように野菜をオンラインで販売する、というサービスもあまりない割に意外とヤフオクで野菜は取引されていたりして、友達からも「アスパラ美味しいから売ってみれば?」と言われて始めました。それで、売れるのは売れるんですが、バックヤードが追いつかなくなってしまって、それで飲食店に販売をしてみよう、ということになりました。そのときにたまたま知り合いのドクターが、「これだったら売れるから飲食店を紹介する」と言ってくれて、営業行脚をしたのがスタートでしたね。

 

このみ農園のアスパラガス

ー今後の目標はありますか?

先ほども言いましたが、ゼロアグリを使って新規就農者の方がアスパラ栽培にチャレンジしやすいような土壌を作れたらと思っています。熟練農家さんには、省力化のメリットを感じながらゼロアグリを使ってもらいつつ、熟練農家さんの潅水のノウハウが詰まったゼロアグリを新規就農の方が使うことで、少しでも早く良い結果が出せるようにする、みたいなループができるととても良いですね。

そこまで多くはありませんが、壱岐にも新規就農者の方もちらほらいます。そういった方々が今後頑張っていただくことでより産地としても強くなっていくと思っていて、そのためにもゼロアグリのようなスマート農業技術をうまく活用していきたいです。

散水中のアスパラ圃場
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