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潅水チューブの選び方|構造と特徴、種類について

潅水チューブには様々な種類と用途があり、露地での潅水など点滴チューブに比べ適用範囲にも広いものがあります。本記事では潅水チューブの構造や種類と特徴などについて、ご紹介いたします。

潅水チューブの構造と特徴

潅水チューブにはポリエチレンなどの樹脂製チューブに孔が等間隔で開けられたものが多くみられます。また硬質のチューブを用いる場合もあります。さらにノズルを取り付けるタイプもあります。チューブ内部が複層構造のものや、フィルター内蔵による詰まり防止を行うものもあります。点滴チューブによる潅水に比べ、潅水チューブでは水は細かな粒子となって広範囲に吹き出すことから、散水と呼ぶこともあります。

潅水チューブによる潅水(散水)は、点滴チューブによる潅水とは異なり、面的なものになります。そのため作物の根域からずれた範囲に潅水が行われることも考えられ、その場合には潅水と同時に行われる施肥の効率が低下すること、余剰肥料による塩類集積が起こる可能性も考えられます。一方で広範囲かつ大量の潅水も行えることから、水分を多量に必要とする作物(アスパラガスなど)については潅水チューブの利用、もしくは点滴チューブと潅水チューブの併用が考えられます。また点滴チューブによる潅水では補えない通路への潅水を潅水チューブで行う場合もあります。

潅水チューブによる通路潅水
(点滴チューブによる株元潅水も併用している)

潅水チューブのスペック

製品の形態としてチューブの長さ、折径、孔間隔などがあげられます。また孔の配列(片側/両側、千鳥など)もあります。

潅水量に関しては、圧力によって異なるため、圧力別の流量(チューブ1m当たり、リットル/分など)として表します。潅水の方式は様々で、潅水の方向(上向き、水平、斜めなど)、潅水の到達距離、潅水時の範囲(濡れるエリアなど)などで示します。潅水の方式によって、潅水チューブは以下のような様々な種類にわけられます。

潅水チューブの種類

一般的な潅水チューブ

特に種類が決められたものではなく、「潅水チューブ」として提供されています。孔は両側に開けられ、作物用途により孔間隔の種類がいくつかあり、使用圧力の範囲が指定されています。また圧力別の流量が示され、潅水量を計算することができます。

水平散水用の潅水チューブ

孔間隔が数cm単位と短く、また水平に散水することでマルチ下の潅水に適しています。無マルチ栽培の場合でも株元に向けた潅水となり、葉や茎が濡れにくいと言えます。また潅水の到達距離の長いタイプでは、果樹園などの潅水に用いられます。

水平散水 
スミチューブ果菜(住化農業資材株式会社 製品情報リストより)

雨状の全面潅水チューブ

潅水チューブの上側180度の範囲で、雨状に全面潅水を行うものです。流量も多く、露地畑などを広範囲に潅水するのに適しています。

雨状全面潅水 
スミサンスイR露地ワイド(住化農業資材株式会社 製品情報サイトより)

パイプハウスでの全面潅水チューブ

通常の単棟パイプハウスの中央に1本敷設し、ハウスの裾張り付近まで様々な角度で全面に潅水を行うものです。葉菜類やセルトレイ育苗での潅水に用いられます。また連棟ハウスでも間口単位などの全面潅水に用いられます。

 

頭上潅水用の潅水チューブ

ハウス内の加湿、葉面散布などに用いるもので、霧状の散水を行います。誘引線やハウスのブレスの位置に吊るすなどして設置し、上方に向けて散水します。

 

頭上潅水
ミストエース20葉水くん(住化農業資材株式会社 製品情報サイトより)

ノズル式潅水チューブ

硬質のチューブに穴を開け、専用の潅水ノズルを取り付けるものです。潅水ノズルの種類によって散水の範囲(角度や距離)が異なり、また潅水ノズルの間隔は自由に決めることができます。スポット的に散水を行うイメージになります。硬質のためチューブの取り回しは容易といえます。

アスパラガス栽培でのノズル付き潅水チューブ

株元潅水用の潅水チューブ

10cm程度の短いピッチで孔があいたもので、横方向に広範囲に散水を行い、畝全体をまんべんなく潅水します。

潅水チューブの使用上の注意点

潅水チューブの仕様には必ず適正な圧力範囲が示されており、その範囲で使用し、また圧力に応じた潅水の到達距離も確認する必要があります。

点滴チューブと同様に、目詰まり防止対策が必要になります。目詰まり防止にはディスクフィルター等を用いますが、潅水チューブの末端を開放して定期的に水を流すことで異物を排出する方法も取られます。

なお、潅水チューブはマルチ栽培での被覆の下に置かれる場合があります。その際には潅水の広がり方や土壌への浸透の様子を視ることができないため、ときどきマルチをめくり状況を確認することも必要です。

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