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少量多潅水とは何か。特徴とメリットをご紹介

トマト、キュウリ、イチゴなど多くの作物に適した潅水方法として普及してきている少量多潅水。本記事では少量多潅水の特徴と実施方法、メリットについて簡単にまとめています。また、地上部環境制御と少量多潅水の相性についてもご説明します。

点滴チューブから水滴が落ちる様子

少量多潅水とは何か

少量多潅水とは、作物が必要とする量の水をできるだけ時間をかけて少しずつ与えることを言います。作物にとって最適な土壌水分量を保つことで、生育の安定を目指す技術です。

少量多潅水で育てたトマト
ゼロアグリで栽培したトマト

少量多潅水を実施する場合、点滴チューブによる潅水をお勧めします。通常の潅水チューブを使用すると、どうしても1回に潅水する量が多くなってしまい、多くても1日2~3回の潅水で必要潅水量を満たしてしまうからです。

点滴チューブの場合、1回に与える潅水量は少量となり、潅水回数を増やすことで潅水量を確保します。また点滴チューブを用いることで、チューブの水源側の根本と先端の潅水量の差をできるだけ減らし、潅水のコントロールが行いやすくなります。

少量多潅水のメリット

点滴チューブによる少量多潅水では、土壌の保水量に対し過剰な潅水とならないよう潅水時間を設定すれば、余剰潅水を抑えることができます。元々はイスラエルの乾燥地帯で生まれた潅水技術であり、節水型農業の基盤技術となっています。

また潅水回数を増やすことで、土壌の水分状態を比較的安定化することも可能です。そのためタイマーや制御装置による電磁弁開閉機構が必要となりますが、手作業では不可能なきめ細かな潅水によって土壌水分率を一定範囲に保つことが可能となっています。

従来の手作業によるバルブ開閉と潅水チューブによる潅水では、1日の潅水回数は1~2回程度が限界であり、数日に1回となることもありました。そのため土壌の水分状態に波が生じ、作物が水を要求する時(日射量が増えた時など)に水分が足りない、吸水が出来ないなど、作物にとって大きなストレスとなることもありました。一方で点滴チューブによる少量多潅水では土壌の水分状態を安定化し、作物のストレスを軽減して安定した生育が望めるようになります。

少量多潅水と環境制御技術

環境制御機器

最近はハウス内の環境モニタリングや環境制御技術の発展により、温湿度やCO2濃度などを作物の生育に適切な状態に保つことが可能になっており、光合成を促進し収量や品質の向上にも寄与しています。

一方でハウス内環境が好適なものとなれば、それに応じ地下部の環境、すなわち土壌の水分状態や施肥も適切に管理する必要があります。光合成に必要な水分の供給が十分に行われなければ、環境制御技術の効果も損なわれるかもしれません。環境制御技術が発展するほど、潅水技術の重要性も増すと言え、今後は植物にストレスを与えない少量多潅水も施設栽培の基盤技術として改めて重視されると言えるでしょう。

ゼロアグリ環境情報表示画面

施設栽培は総合的な技術であり、地上部と地下部の両面を適切に管理することで相乗効果が得られます。AI潅水制御により土壌の水分状態を安定化するゼロアグリは、環境制御技術によって生育が促進される作物に対して適切な水分供給や施肥を行うことが可能で、今後の適用が期待されます。

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