ルートレック・ファーム2 概要
ルートレック・ファーム2は、農業資材高騰と気候変動への対策として、農研機構西日本農業研究センターと香川県農業試験場が共同開発した建設足場資材を使った「片屋根新型ハウス(通称:NNハウス)」を採用しました。
ルートレック・ファーム1で行った遊休ハウスの利活用に加えて、今回ハウスを新設する場合の選択肢として、NNハウス×高畝アスパラガス×ゼロアグリを実証し、生産性の高い農業を実現することで、引き続き壱岐市における雇用創出やアスパラガスの売上拡大に貢献いたします。また、新規就農者が就農しやすいように栽培パッケージを今後展開し、農家の高齢化や後継者不足の課題解決にも貢献してまいります。

ハウス基本情報
- 連棟:3連棟
- 間口:5.4m(5.4m×3連棟=16.2m)
- 奥行:30m ※今後、拡張予定
- 肩高:2.5m、4m
- 軒高:4m
NNハウス
NNハウスの特徴として、Φ48.6の足場管用の単管を使用しているため、非常に頑丈であり、資材の調達や施工も容易です。
また、側窓が高く大きいため、自然換気にも優れており熱気がこもらない構造となっています。このような特徴はアスパラガスの高畝栽培と非常に相性が良く、樹が高く伸びるアスパラガスは伸び伸びと生育することができます。
実際に、ルートレック・ファーム1と比較すると夏場のハウス内温度が約10℃低いことも確認しています。夏場のアスパラガスの生育だけでなく、作業時の温度としてもメリットがあります。

高畝基本情報
ルートレック・ファーム1では、軍艦巻きタイプを採用しましたが、今回は香川県農業試験場が開発した枠板式高畝栽培、軍艦巻きタイプと対比させる形で片流れ式と呼んでいる片面だけを枠板で固定する畝を採用しました。片流れ式にした理由は、軍艦巻きタイプに比べて、資材及び施工コストを下げることができます。2畝にすることで通路幅を広く取ることができ、通路の往復回数も減らすことができるので、作業性が改善されます。また、採光性も良くなることで、同じ間口で3畝を作るより、2畝の方が収量も上がります。将来的に、通路幅が1.8mあれば防除ロボットや収穫ロボットが入ることもできます。
- 畝数:6畝
- 高さ:60cm
- 幅 :50cm
- 奥行:26m
- 通路:1.8m
- 形式:枠板式高畝栽培(香川県農業試験場にて開発された技術)

栽培基本情報
- 定植日:2025年4月8日
- 株間 :30cm
- 品種 :ハイパーウェルカム、SY4-032、SY4-033

定植直後(2025年4月8日)
スマート農業
環境制御のために、自社製品であるハイエンドモデルのゼロアグリPlusを導入しています。ゼロアグリPlusでは、各センサーから得られた環境情報を元に、潅水・施肥・自動巻き上げ機(側窓・天窓)を自動で制御しています。
潅水においては、目標土壌水分を設定し、日々の天気や作物体の要水量の変化に応じて、設定した目標土壌水分を自動で維持しています。
施肥においては、目標EC値を設定し、常に設定したEC値を自動で維持するよう施肥量が調整されています。
自動巻き上げ機においては、目標気温を設定し、常に設定した目標気温を維持するように開閉が制御されています。雨を感知したら自動で閉まります。強風も予報を取得して、自動で閉まります。
雑草や収穫、防除等は人手で行っていますが、防除をスマート化する新製品も現在開発中です。

IPM(総合防除)の取組
ルートレック・ファーム2では、長崎県農林技術開発センターで研究された成果である天敵を活用した害虫管理技術体系を導入しました。本技術では、害虫であるアザミウマやコナジラミの天敵であるスワルスキーカブリダニ×天敵温存植物スカエボラを導入し、天敵に影響の少ない殺虫剤を組み合わせることで、夏期の殺虫剤の散布回数を半減させながら、慣行防除と同等のコスト・効果を得られることができます。減農薬だけでなく、夏期の農薬散布回数が減ることで、作業車の負担を減らすことができます。
また、ヨトウガ対策として、セイコーステラ社の虫ブロッカー黄を採用し、導入しています。

2025年6月の様子

2025年9月の様子

2025年11月の様子




