養液土耕栽培とは

養液土耕栽培とは

養液土耕とは、1930年代初期イスラエルで発祥した、「少量の水で、いかに効率よく生育を促すか」という考えを元にした栽培方法です。 チューブの穴から少量ずつポタポタと、土に浸透するスピードで水を垂らす(点滴潅水)ことで、節水はもちろん、作物の生育をも改善することが明らかになりました。 現在では、養液土耕栽培による水と肥料とを合わせた培養液(液肥など)を供給することで、従来の慣行栽培と比べ、「水・肥料の軽減」のみならず、「収量・品質ともに向上」するようになりました。

様々な作物に対応し、収量増や品質向上に貢献
培地に土を使用し、土本来が持つ良さを活かしながら、養液栽培の手法を取り入れます。トマト、キュウリ、イチゴ、ナス、ピーマン、花卉、アスパラガスなど各種作物で成果の出ている栽培方法です。

作物にストレスを与えず、最適量の水と肥料を供給
ゼロアグリは作物の生育段階に応じた必要な水と肥料を点滴チューブを通して供給します。肥料は、ゼロアグリ本体に付属されている液肥混入器を使って吸い上げます。
土に浸透する緩やかな速度の潅水施肥を行うことで、定植直後の苗にストレスをかけずに、水・酸素・肥料をバランスよく与えることができます。これにより、「活性の高い根が多く発生」します。

点滴チューブから水滴が出る様子

養液土耕のメリット

1. 定植時期を問わず、収量増加、品質の安定化!

液肥混入器とつながった点滴チューブは、圃場内全エリアに張り巡らされているため、水分と養分を均一に供給することができます。これにより「生育が揃い、収量も増加」します。

さらにゼロアグリ1台で最大6区画を管理し、培養液(液肥)を供給できます。
通常、圃場内は場所によって土壌水分量が異なるため、各区画の配置センサーで情報収集・AI分析することで、ゼロアグリが自動で各区画に適した量の培養液を供給します。これにより、「定植時期の異なる作物への対応も可能」です。

2. AIが最適判断&自動供給!作業時間を大幅軽減

従来の養液土耕栽培システムはタイマー式のために、潅水量・施肥量・タイミングは生産者自身がその都度判断してタイマー設定を行わなくてはならず、うまく栽培するにはノウハウが必要でした。

ゼロアグリでは、作物の成長に合わせた必要な量の培養液を、センサー情報でAIが自動判断し、適切な時間に点滴チューブより自動供給します。

これらにより、潅水と施肥の作業時間は大幅に軽減され、規模拡大が可能となりました。

ゼロアグリと潅水ユニット

3. 土壌水分ストレスを起こさない

従来、農作業は時期・天候・湿度等に十分に気を付けながら生産者自身が潅水の有無を判断しています。しかし、判断次第では水分過剰/不足や、土壌の酸欠状態を招くこともあり、水と肥料の溶脱などの問題が発生することもあります。
当然、作物へのストレスとなり、品質や収量に悪影響を及ぼします。

これらを解決したのがゼロアグリの点滴潅水です。日射センサと土壌センサの情報を元に、常に最適な土壌水分状態に近づけることにより、土を固めず、酸素を逃しません。これは、作物にとってストレスの少ない状態です。

土壌の最適な水分値を保てるから、水分ストレスを与えず、培養液が根から無駄なく吸収されます。

4. 除草作業、防除作業の軽減

ゼロアグリは根域以外には潅水しないため、雑草発生を抑えて除草作業が軽減されます。
ハウス内湿度も低く抑えられるので、病気の発生が減少し、防除作業の軽減へともつながります。

養液土耕栽培と少量多潅水

養液土耕栽培の中核的な技術は、少量多潅水と呼ばれる潅水方法です。点滴チューブを用いた少量多潅水では、土壌の保水量に対し過剰な潅水とならないよう潅水時間を設定することで、余剰潅水を抑えることができます。元々はイスラエルの乾燥地帯で生まれた潅水技術であり、節水型農業の基盤技術となっています。また潅水と同時に行われる施肥の無駄を省き、肥料の節減にもつながります。

 

従来の手作業によるバルブ開閉と潅水チューブによる潅水では、1日の潅水回数は1~2回程度が限界であり、数日に1回となることもありました。そのため土壌の水分状態に波が生じ、作物が水を要求する時(日射量が増えた時など)に水分が足りない、吸水が出来ないなど、作物にとって大きなストレスとなることもありました。

 

少量多潅水では、潅水回数を増やすことで土壌の水分状態を比較的安定化することも可能です。そのためタイマーや制御装置による電磁弁開閉機構が必要となりますが、手作業では不可能なきめ細かな潅水によって土壌水分率を一定範囲に保つことが可能となっています。そしてそのことで、作物のストレスを軽減して安定した生育が望めるようになります。

 

少量多潅水とは何か。特徴とメリットをご紹介

オンラインドリッパー
イチゴ、トマト、キュウリなど多くの作物に適する養液土耕

養液土耕栽培の装置構成

養液土耕栽培では、潅水と液肥による施肥を同時に行うことが求められます。そのために液肥混入器が必要になります。液肥混入器は潅水の原水(井戸水など)に一定の濃度で液肥を混入(希釈と呼びます)する装置のことです。原水への液肥の混入には、混合タンクを使う場合と使わない場合があります。大規模な養液栽培では、あらかじめ混合タンクに大量の液肥を作り、大面積へ送る方式がとられます。一般的な養液土耕栽培や小規模な養液栽培では、混合タンクを用いず、簡易な希釈を行います。

 

養液栽培でも養液土耕栽培でも、液肥混入器の入口側(1次側)に、原水を送水し貯水するための原水タンクや送水ポンプが必要になります。また詰まりを防止するフィルターも用い、水圧や流量を調整する弁やバルブを用いる場合があります。さらに原水に鉄分などの含有が多い場合は、ろ過装置を取り付ける場合もあります。液肥混入機の出口側(2次側)には、潅水の入り切りや系統の変更を行うためのバルブ、電磁弁、流量計が取り付けられます。これらの機器をむすび動作を制御するためのタイマーやコントローラも必要になります。

 

養液土耕の潅水装置の構成と液肥混入器

液肥混入器の一例

養液土耕栽培での潅水制御

養液土耕栽培の中核技術には潅水制御があります。少量多潅水を行う場合には、いつどのような状況でどの程度の潅水を行うのかが重量になります。以下に潅水制御の方法を示します。

手動制御

手動バルブの開閉や、電磁弁の手動ON/OFFにより潅水の開始と停止を行います。サブタイマーを追加して一回の潅水時間を設定する半自動制御もあります。

タイマー制御

メインタイマーで潅水開始時刻、サブタイマーで潅水時間を設定する自動制御です。

日射比例制御

積算日射量が一定値になった際に信号出力を行う専用のコントローラを用いる自動制御です。植物の群落の大きさにより必要とする潅水量が異なるため、一回当たりの潅水量を調整する必要があります。

ゼロアグリ

土壌水分を計測し、一定値に安定させるAI潅水制御機能がある自動制御を行います。また日射比例制御や多系統制御機能を併せ持ちます。通信機能を持つコントローラとクラウド上の潅水演算機能やデータベース機能が合体し、液肥混入機や電磁弁の動作を遠隔制御します。動作状況やセンサー値もクラウド経由で、スマホなどでモニタリングが可能です。

自動潅水装置についての記事はこちら

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